北見隆 作品集 「本の国のアリス ・存在しない書物を求めて・ 」


北見隆さんの作品集です。
本そのものを作品化した「ブックアート」シリーズをまとめた本で、タイトルは「本の国のアリス」です。

9月にアトリエサード社より刊行されました。
サイズ A5判/ページ数 63p/高さ 22cm
価格 2,970円(税込)

chirosukeの感想は・・・
本そのものが、「アリス」の物語を表現していて素晴らしいです。
アリスやウサギやトカゲのビル等が、北見先生ならではのデフォルメされた不思議なイメージでぐっときます。

広がったスカートから出た超細い脚が、chirosukeは好きです。
どこを観ているかわからない謎めいた瞳の少女が、chirosukeは好きです。
鋭角的に折れ曲がった体躯でポーズをとるアリスが、chirosukeは好きです。
chirosukeの大好きがいっぱいの作品集です。

一番嬉しかったのは、chirosukeがリトグラフを持っている「樹上のティーパーティー」(2009年)の原画が掲載されていたこと・・・!
chirosukeがひとめぼれしてがんばって身請けしたリトグラフです。
(リトグラフ「樹上のティーパーティー」については、2012年1月8日のブログをみてね)

他にchirosukeが気にいった作品は「惑星遊戯」(2003年)、「赤頭巾ちゃん」(2016年)です。
これはぜひ実物を観てみたいなぁ。

本の形をした「ブックアート」はとても不思議で、本そのものが物語なんだなぁと思いました。
コンパクトなサイズの作品集ですが内容はとても素敵です。
アリス好きにはたまらない本であります。

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文庫 「イノセント・デイズ」 早見 和真


早見 和真さんの「イノセント・デイズ」を読みました。

chirosukeの感想は・・・
この作家さんは初めてです。
書店で平積み、煽り手書きPOPに見事に煽られました。
「読後、あまりの衝撃で3日ほど寝込みました」という帯にも煽られ、chirosuke、煽られっぱなしです。
結果は「煽られただけ・・・」でありました。

主人公に全く共感できませんでした。
他の登場人物にも感情移入できる部分は少なくて、chirosukeの理解できない言動だらけの人達に戸惑いさえ感じました。
一人の女性死刑囚が死刑を宣告されるまでの人生を、彼女の周囲にいた人々が語るお話です。
主人公がほとんど自分の言葉で語ろうとしないことにchirosukeは納得がいきませんでした。

必要とされてる人に捨てられるのはもう嫌だから死を願う・・・はぁ?
やってもない罪をいくつもひっかぶり、都合の良いように利用され、最後は死刑宣告され「生まれてきてごめんなさい」だと?
不幸な生い立ちや境遇に同情はしましたが、徹底した流されっぷりに何なのコレ・・・で頭がぐるぐるしちゃいました。
押し寄せる不運、悪意、誤解、暴力、裏切りに翻弄される主人公は、ほぼ闘わない、ようにchirosukeは感じました。
とても虚しい人生です。
そんな主人公を最初から最後までchirosukeは理解できませんでした。

そしてたった一人、最後まで味方であり続けようとする男性が登場しますが、これにも説得力がありません。
なんでここに来てそう頑張るのか。
動機が弱い・・・!
オトナになっても小学生同士のような絆を求め、そこに無理やり「純粋さ」を持って来たいのでしょうが今更って感じ。
逆に「コドモ時代」の一途な結びつきを貶めているような気がします。

魅力的な登場人物が一人もいません。
全員が中途半端で、主人公をいたぶる為にちょろっと登場する脇役達みたいです。
リアリティも乏しくて、だいたいこの作品をミステリーとカテゴライズするのに無理があります。
主人公は誰かに依存して生きることで自分の必要性を認識し、最後は無実の罪を被って自ら望んで死刑になる。
なんでそうなる?
生きるために死を選んだ、なんて詭弁にもなりません。
とどのつまり自意識過剰の悲劇のヒロインみたいで気持ち悪い。

主人公「幸乃」の人生が「イノセント=無垢、純粋、潔白」だとはchirosukeは決して思えません。
生きていく限り辛いことはあります。
人生は残酷で「毒」に満ちています。
その「毒」を認識し、抗い、闘い、排除し、時には受け入れ、無様であっても生きていく姿こそが美しく純粋だとchirosukeは思います。
「イノセント・デイズ」とても残念な作品でした。

単行本 「弥栄の烏」 阿部智里


阿部智里さんの「八咫烏(やたがらす)」シリーズ最新作:第6弾「弥栄の烏(いやさかのからす)」です。

前作の「玉依姫(たまよりひめ)」から一年待ちました!
(「玉依姫」については、2016年8月21日のブログをみてね)

chirosukeの感想は・・・
とても面白かったです。
第一部完結篇となるお話、二日で読み切りました。
雪哉の弟が武官訓練所である剄草院に入学準備する場面からが書かれています。
実力を認められ、全軍の参謀役にまでなった雪哉が大活躍します。
chirosukeは「人喰い大猿」と闘う雪哉が、「進撃の巨人」のアルミン+エルヴィン団長に思われて仕方なかったです。
そして路近が良い! すごく良い!

猿と八咫烏の最終決戦、若宮が名前を取り戻せるかどうか、山内がどうなるかが書かれていて、chirosukeは両手をグーにしながら読んでおりました。
前作の玉依姫と同じ時間軸を、烏側の視点から書いています。
阿部智里さんお得意の手法が冴えていました。
chirosukeは「玉依姫」はイマイチだった部分も多く、完結編への布石であってほしいと思っていました。
「弥栄の烏」を読むと、充分布石であったのだなと思えます。

「玉依姫」で大火傷を負った山内衆が誰だったのか、とても気になっていたchirosukeですが、こういうことだったんですね。
亡くなった山内衆のこともわかり、心が痛かったです。

「八咫烏」シリーズは「第一部完結編」となりましたが、是非「第二部」を読んでみたいです。
「八咫烏」の世界をもっともっと深く知りたいと思います。
次回作が大変楽しみなchirosukeであります。

文庫 「豆の上で眠る」 湊かなえ


chirosukeは湊かなえさんの新刊長編、「豆の上で眠る」を読みました。

これはchirosuke、タイトルに魅かれたのが読むきっかけでした。
湊かなえさんなのでハズレは無いだろうという安心感もありましたし・・・。
タイトルは、chirosukeがアンデルセン童話の中で一番好きなお話のひとつ「えんどう豆の上にねむったお姫さま」から来ていることは間違いないないと思いました。

chirosukeの感想は・・・
この物語は「えんどう豆の上にねむったお姫さま」を読んでいる(知っている)方が、絶対楽しめると思いました。

幼い頃、行方不明になった姉が二年後に戻ってくるのですが、妹の心には「違和感」が残り続けているというお話しです。
「お姉ちゃん、あなたは本当に、本物の万佑子ちゃんですか?」 という妹の声に出せない違和感が、読んでいるchirosukeにもザラッとした違和感として伝わります。

仲良しだったコドモ時代の姉妹の記憶が、違和感とともに再現されていくような感覚になりました。
湊かなえさんの手法はすごいなぁと思いましたが、両親の対応や、空白の2年間にリアリティが感じられず、ややゴリ押しっぽいとも感じました。

chirosukeは、読みながらずっと考えていました。
「本物の万佑子ちゃん」はどこにいったんだろう。
「戻ってきた万佑子ちゃん」は本物だったんだろうか。
幼い日の記憶は再現されたのではなく、再構築されたのではないか。
再構築された記憶の中の人物は、もはや元の人物とはいえないのではないか。
そんなことを思いながら、続きが読みたくて二日で読んでしまいました。
続きが読みたくなる本はchirosukeにとって「良い本」であります。

chirosukeはアンデルセン童話は何冊か持っていますが、「えんどう豆の上にねむったお姫さま」だけの絵本はこの一冊だけです。

太平社の絵本で翻訳も挿絵も大好きな本です。
「えんどう豆の上にねむったお姫さま」
ドロテー・ドゥンツェ 絵/H.C.アンデルセン 作
ウィルヘルム・きくえ 訳
定価:本体1,800円(税別)
33×24cm/24ページ/オールカラー
発売日: 1984年12月

確かこの本は絶版だったと思います。
「えんどう豆の上にねむったお姫さま」という物語は短編で、アンデルセン童話集などにも収められています。
(あんまりメジャーな作品ではありませんが)
アンデルセンの童話では「本物のお姫様」は見つかりましたが、永遠に失われてしまった「本物の万佑子ちゃん」を思い、chirosukeはちょっとやりきれない気持ちになりました。

chirosukeは、アンデルセンの物語を読んでから 「豆の上で眠る」を読まれることをお勧めします。
より一層、湊かなえ「毒」を楽しめるのではないかと思います。

「クロワッサン」2017年4/25号 創刊40周年記念オリジナル風呂敷 「伊藤若冲 鶏図押絵貼屏風」


創刊40周年をむかえた雑誌「クロワッサン」です。
4月10日発売号は「京都・奈良への旅」が特集テーマです。

chirosukeはめったに雑誌は身請けしません。
今回も関西人chirosukeが「京都・奈良への旅」に興味があったわけでは無く、特別付録の江戸時代の画家・伊藤若冲の作品「鶏図押絵貼屏風」をあしらった特製風呂敷がついていたからであります。

chirosukeは付録の風呂敷が欲しくて身請けしました。

価格:800円(税込)

クロワッサン 創刊40周年記念オリジナル風呂敷「伊藤若冲 鶏図押絵貼屏風」

風呂敷:ポリエステル100%
サイズ:70㎝×70㎝

付録としてはなかなかのクオリティだと思います。
「伊藤若冲展」のグッズでありそう・・・。

若冲の鶏が良い感じです。
この風呂敷、使うかどうかは考え中のchirosukeであります。

文庫 「出版禁止」 長江 俊和


長江俊和さんの「出版禁止」を読みました。

chirosukeの感想は・・・
初めて読む作家さんです。
いかにも煽ってますよというタイトルです。
これは、chirosukeが思うミステリーとは違っていました。

何もかもが思わせぶりです。
これは物語のあちこちに隠されたキーワードや伏線を読み解いて真相に迫るという手法では無く、作者が施した仕掛けを見つけて想像して楽しむ本ですね。
だから謎に明確な答えは無く、物語の登場人物の心や動機はさほど重要では無いようでした。
chirosukeが好きな種類の本ではないなと、読み終わってから気付いた次第です・・・。

都合良くお話が進んでいったかと思うと、実はこうでしたという作者しか知る由もない事実が後出しで披露されたり、あれこれと解釈をしたい人には楽しめるのでしょうが、chirosukeはなんだこりゃ?でありました。
仕掛けやトリックも謎や毒ではなく、これってネタですか?
どんでん返しもあったのですか? chirosukeは気付かなかったです・・・。

物語ではなく、ゲームを楽しむ本なのでしょう。
タイトルだけで煽られたのが悔しいです。
chirosukeの好みではなくて、とっても残念でありました。

文庫「首折り男のための協奏曲」 伊坂幸太郎


伊坂幸太郎さんの「首折り男のための協奏曲」を読みました。

chirosukeの感想は・・・
複数のお話に登場人物が違った視点で登場するので、chirosukeは期待をしながら読んでおりました。
それぞれのお話はまあまあ面白いのでどんどん読めますが、伊坂さんお得意のどんでん返しと、巧妙に張り巡らされた伏線が、ラストに見事に集約される展開とは違っていました。
話が繋がっていないのでこれは「短編集」として読めばいいのかなぁ。

最後まで「繋がったお話」を期待していたので、最終話の「合コンの話」は訳が解らず戸惑ってしまったchirosukeです。
最終話が他愛のないお話だったという印象で、え?これで終わり?という感じです。

作品の構成自体が「繋がった話」としてのミスリードだったのでしょうか・・・。
う~ん、これは思わせぶりでちょっと残念だったchirosukeでありました。
chirosukeのベスト伊坂幸太郎「グラスホッパー」を超える作品を読みたいものであります。
(グラスホッパーについては、2014年8月14日のブログをみてね)

文庫 「鍵」 乃南アサ


chirosukeは乃南アサさんの「鍵」を読みました。

chirosukeの感想は・・・
これは帯に騙されました。
「傑作ミステリーにして胸を打つ家族の物語」だって・・・。
本は当たり外れだし、芝居と同じで好き嫌いです。

chirosukeは全く胸が打たれなかったです。
しかもミステリーとも思えませんでした。
お行儀の良いホームドラマです。
ある事件をきっかけに、家族がすれ違っていた関係を修復するという退屈なお話でした。

まず読み始めてから時間がかかりました。
続きが読みたいとも思えず、少しずつページを追って行ったという感じです。
chirosukeは数冊を併読するのですが、ついつい後回しになってしまう本でした。

「機微」という言葉があります。
表面からは知りにくい微妙な心の動きや物事の趣という意味です。
乃南アサさんはこの物語で「機微」は巧く表現できていると思うのですが、全編「機微」だらけ・・・。
家族の些細なすれ違いや遠慮や誤解といった、どこにでもある、誰にでもあることを書いているみたい。
退屈です。
主人公が「良い子」で、周囲も普通の良い人ばかり。
そこに無理やり「事件」をもってきて強引に主人公を引きずり込むような展開でした。

事件の発生そのものに無理があって、人が数人殺されたりもするんですが、「えっ?この事件で人が死にますか?」とchirosukeはびっくり。
「鍵」を巡って事件が進むのですが、ほんと何とか事件にしましたというユルイ勢いです。
終盤はちょっとハラハラするような持っていき方ですが、とても都合よくchirosukeが思った通りの、まさかの安易な幕引きでありました。
毒の無いホームドラマで残念でした。

「機微」が好きな人は楽しめるのかなぁ。
chirosukeは乃南アサさんが合わないのかな・・・。
以前の「ウツボカズラの夢」もイマイチだったし。
(「ウツボカズラの夢」については2011年8月15日のブログをみてね)
そうとは決めつけず別の作品も読んでみましょう・・・。

文庫 「チャイルド44 上・下」 トム・ロブ・スミス


chirosukeは新潮文庫の「チャイルド44 上・下」を読みました。

トム・ロブ・スミスは先日読んだ「偽りの楽園」から2作目です。
(「偽りの楽園」については2017年3月8日のブログをみてね)

「チャイルド44」chirosukeの感想は・・・
めちゃめちゃ面白かったです!
これ、トム・ロブ・スミスのデビュー作なんですって!
これが一作目なら後の作品の期待値ハードルが上がってしまいます。
もしchirosukeが、先に「チャイルド44」を読んでいて、後から「偽りの楽園」を読んでいたとしたら・・・間違いなく「偽りの楽園」は期待がすごくて、結果点が辛くなっていたはずであります。

「チャイルド44」は1950年代のソビエト連邦を舞台にした国家保安庁職員の行動を書いています。
実在したウクライナの猟奇殺人をモデルにしているそうですが、フィクションとしてとても良くできているとchirosukeは思います。
スリリングでとにかく続きが読みたくて、chirosukeは2日で上下巻を読んでしまいました。
あの時代のあの国の内情が書かれていて、それがどこまで真実なのか現実はもっと酷かったのかはchirosukeは想像するしかありません。
密告⇒逮捕⇒投獄⇒拷問⇒収容所⇒粛清、身内でさえ信用できない社会システムが目指していた「すべてが平等で完全な世界」っていったい・・・。
人の行いや真実を容易く隠ぺいし、人の心を歪めてしまう怖さが際立っています。
ただ、舞台をそこに置いたことによって「事件」はchirosukeが思いもよらない展開をします。
単なる猟奇殺人事件を書いたのでは無い、骨太のリアリティがハラハラドキドキです。

〇〇ヴィッチとか〇〇フスキーとか〇〇ヴィエフとか、難しい名前の人がたくさん出てきますが、演劇少女のお約束、チェーホフの戯曲と同じだと思えばへっちゃらです。
ファーストネームは解りやすいので・・・。
昔読んだ井上ひさしさんの小説「ブンとフン」に出てくる人の名前「イワン・イワンコッチャナイゼヴィッチ・イクライッテモダメダネフスキー」を思い出しました。

「チャイルド44」は、すごい作品だと思います。
続編もあるようなので読んでみたいchirosukeでありました。

文庫「長い長い殺人」 宮部みゆき


宮部みゆきさんの「長い長い殺人」を読みました。

chirosuke感想は・・・
とても面白く、二日で読んでしまいました。
chirosukeの「良い本の定義」は、「続きを読みたくてページをめくってしまう本」でありますから、この「長い長い殺人」 はとっても良い本です。
続き読みたさに夢中になり、つい電車を乗り過ごしてしまった程です・・・。

短編形式で進んでいくミステリーです。
語り口が見事というか、語り部は「お財布」であります。
はい、誰もが持っている財布です。
この財布が良く喋る!
喋るんだけど財布だから知らないことも多いんです。
その歯がゆさも物語の進展を妨げることは無く、心地よい違和感、ひとつひとつのピースがきっちりかみ合って行く、さすが宮部マジックです。

そうきたか!と一見唐突にも思える展開ですが、これって・・・
後の大長編、あの名作に引き継がれていくのかと、chirosukeは唸ってしまいました。

ミステリーなので内容に深く触れることはしませんが、他の宮部作品にも登場する、ちょっと不思議な直観を持つ少年がchirosukeは好きです。
スティーヴン・キングの「シャイニング」にでてくる少年ダニーを思い出したchirosukeです。

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ほうろうって・・・

優しく扱ってあげないと、欠ける、はがれる。
お鍋の取っ手は熱くなる・・・。
お高い・・・。
でも綺麗なんだものっ!!

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