chirosukeは、NODA・MAP第25回公演 「兎、波を走る」を観に行ってまいりました。
https://www.nodamap.com/usagi/
NODA・MAP第26回公演 「兎、波を走る」
2023年7月25日(火) 19:00~
上演時間:2時間10分(途中休憩なし)
開 演 19:00
終 演 21:10
東京芸術劇場プレイハウス
作・演出:野田秀樹
座席は S席2階E列 中央ブロック (12,000円)
【公演情報】
東京公演:東京芸術劇場プレイハウス 2023年6月17日(土)~7月30日(日)
大阪公演:新歌舞伎座 2023年8月3日(木)~8月13日(日)
博多公演:博多座 2023年8月17日(木)~8月27日(日)
【キャスト】
脱兎:高橋一生
アリスの母:松たか子
アリス:多部未華子
元女優ヤネフスマヤ:秋山菜津子
知恵豊富:大蔵孝二
シャイロック・ホームズ:大鶴佐助
東急半ズボン教官:山崎一
ブレルヒト:野田秀樹
他
【STAFF】
美術: 堀尾幸男
照明: 服部基
衣裳: ひびのこづえ
音楽・効果: 原摩利彦
音響: 藤本純子
振付: 井手茂太
ヘアメイク: 赤松絵利
人形:沢則行
映像:上田大樹
舞台監督: 瀬﨑将孝
プロデューサー: 鈴木弘之
企画・製作: NODA・MAP
今回、どうしてもチケットが取れず・・・。
chirosukeはめちゃくちゃ頑張ったのですが、土日のチケットは何度も落選。
ようやく1枚だけ平日の夜公演が取れました。
これは平日でも取れてラッキーだったのでしょう。
座席は2階の中央ブロックとは言え、E列は最後列であります。
恐るべし、野田MAP!
野田さん、2年ぶりの最新作です。
「兎、波を走る」、chirosukeの感想は・・・
楽しくて、目まぐるしくて、凄まじくて、最後は心が抉られるような衝撃の舞台でした。
潰れかかった遊園地を舞台に、アリス、アリスの母、白うさぎが登場します。
チェーホフは知恵豊富に、ブレヒトはブレルヒトに・・・。
元演劇少女chirosukeはケラケラ笑いながら観ていました。
高橋一生さん、「フェイクスピア」から凄かったですが、今回も素晴らしい演技に感動です。
アリスを演じた多部未華子さん、かわいい!
素直で真っすぐな目力は、後半chirosukeの心に刺さりました。
アリスの母を演じた松たか子さん、chirosukeは演技に泣きました。
野田さんのお約束、物語が進むにつれ、表層部分は剥がれ落ち、コトバは別の意味を持ってぐいぐいと客席を包み込んできます。
野田さんの放つ、軽やかなコトバ遊びの先の「あの国」。
「もうそうするしか無い」現実の国。
産みの母、育ての母、亡命する兎・・・。
そして、「38度」「国境警備兵」「工作員」「招待所」「拉致」・・・不穏なキーワードが次々に現れ、次第に物語の本当の姿が見えてきた時chirosukeが感じたのは、不条理と絶望でした。
アリスは兎を追いかけて行ったのではない。
兎がアリスを連れて行ったのでした。
後半はまるでchirosukeも頭から袋を被せられ、小舟に乗せられ、日常から、家族から、友人から、母親から、人生から、祖国から引き離されるような苦しさです。
アリスの母の台詞「どんなに闇が深くても、私の愛は闇よりも深い。あなたが消えていったその闇よりも。」
chirosukeは涙が止まらなくて・・・。
本当に現在進行形で起きている出来事です。
「強がり思い上がり独りよがり」の若者たちが引き起こした昭和のハイジャック事件も含めて、劇場にいる若い人たちの中には知らない人もいるだろうな・・。
不条理としか言いようの無い、あまりに酷いできごとです。
忘れてはならない、でもそれだけではアリス達は帰ってこない。
何が出来るだろう・・・どうしたらいいんだろう・・・。
脱兎はアリスの母に深く深く頭を下げていました。
chirosukeも心の中で、何も出来ない歯がゆさで心の中で「ごめんなさい」と繰り返しました。
テーマがテーマだけに重苦しい雰囲気ではありましたが、場面転換の紙の扱いやプロジェクションマッピングを上手く利用した舞台は見事!
高橋一生さん、本当に宙を飛んでいるとchirosukeは思いましたもの。
平日だったけどこの舞台を1度でも観ることができて良かった!
劇場でパンフレットと戯曲「兎、波を走る」が掲載されている新潮を身請けしました。
「公式パンフレット」 1,300円 (税込)
A5版サイズ・全ページフルカラー
・メインキャスト総勢8名の最新インタビュー
・写真家・篠山紀信による撮り下ろしポートレート、稽古場写真
・野田秀樹との対談
《スラブ文学者 沼野充義》
ロシア文学評論・翻訳の第一人者が語る“チェーホフ”の現代性と野田作品の共通点とは・・・
《脳科学者 中野信子》
野田秀樹の疑問に脳科学者が答える
・新進気鋭の演出家・杉原邦生による稽古場レポート
・豪華プランナー陣による描き下ろしスケッチ
戯曲「兎、波を走る」」が掲載されている「新潮8月号」です。
この雑誌、欲しい時にはすぐ売り切れになっちゃうことが多いので、この機会にゲットです。
舞台を観終わってからじっくり読みたい戯曲です。
・新潮8月号 1,200円
この戯曲以外に読みたいところって、あんまり無いのよね・・・。
特集は「坂本龍一」を読む だし。
谷川俊太郎の詩が数篇掲載されていて、ちょっと好きなのがあって良かったかな。
久々に文学少女chirosukeでありますね。
たまには文学・・・してみよう。
公演終了後、劇場のロビーに展示された舞台装置の模型です。
沢山の人が並んで写真を撮っていました。
chirosukeも並んで撮影してきました。
野田さんのお芝居を観ることができて、東京万歳! はまだまだ続くchirosukeであります。