chirosuke山形県に行く「赤湯温泉 山形座 瀧波 2泊目カウンターライブキッチン夕食 編」(2024年2月)



16時過ぎに瀧波に戻ってきたchirosuke達はレンタカーを返却。
瀧波に置いておけば、業者さんが引き取りに来てくださるのでとても便利です。

夕食は18時45分から、ダイニング「1/365」でいただきます。
まずは大浴場に行きました。

露天風呂にも入って温まりました。
温泉ってすばらしい~!

いよいよ夕食。
カウンターでのライブキッチンが始まります。
席は事前に決まっています。
今回chirosuke達はオープンキッチンに向かって正面席で、キビキビとお料理を作ってくださるスタッフさんたちが良く見えました。

「飲み物のマリアージュ」を注文しました。
ソムリエさんがワインをお料理に合わせて出してくださいます。

・マリアージュ ひとり 8,800円 コース

お料理とお酒、楽しみです。
chirosukeもSちゃんも日本酒やワインの味はあんまり良くわかりません。
でもシニアソムリエさんが目の前でボトルから注いでくださるワインがとても良い感じなのです。
銘柄の紹介から始まって、自信を持って勧めてくれます。
とっても非日常な経験ができますよ~!

「令和6年2月11日」のお品書き。
「立春」
黄鴬睍睆(うぐいすなく)の頃

二十四節気七十二候の名前であります。
黄鴬睍睆(うぐいすなく):春の訪れを告げるウグイスが山里で鳴き始める頃。

お品書きには、食材を提供されている生産者さんの名前が並んでいます。
瀧波では、日々の香り、旬の食材を主役にしているとのこと。
なので、「季節のメニュー」や「今月の味」はありません。
置賜の豊かな自然と食文化を楽しむレストランなのです。

料理長さん、スタッフさんの挨拶からライブキッチンがスタートです。

スタッフさんが今日のお肉をお披露目してくださいました。
米沢牛、とてもきれいなお肉です。
「シンタマ」と呼ばれる部位です。

シンタマは赤身肉、霜降り肉どちらの肉質も含まれていて、味わい方に幅のある部位なのだそう。
焼肉に適しているそうです。

瀧波のお食事に欠かせないシニアソムリエ久松さんです。

とてもエレガントな仕草でソムリエナイフを扱い、流れるような、そしてとても嬉しそうにワインを注がれるとき、chirosukeもとても嬉しくなってしまいます。
そのワインはお料理を引き立てて、とてもおいしく感じます。

おいしそう~!
実際、おいしいです!

グラスもワインによってすべて違う形でした。

「幕開き」
上山産 干し柿
 飯豊町の柿酢

工房ストローの紅平豆
 神町苺

庄内産 棒鱈
 高畠町 吉田さんの男爵

とてもきれいで繊細な味のおいしいお料理です。
上山産の干し柿?
chirosukeは頭の中で「カセドリ」の歌カッカッカーのカッカッカー! がぐるぐる廻っておりました・・・。

良くスーパーでも野菜に「生産者さんの顔が見える」っていうのがありますが、お料理に生産者さんの名前があるのもすごいなぁ。

ソムリエさんがワインを注いでいます。
エレガントな身のこなしですが、とってもフレンドリーなおじ様です。

ワインは「ケンゾーエステイトのasatsuyu」です。
日本人オーナー辻本憲三さんが、プレミアムワインのメッカ、カリフォルニア州、ナパ・ヴァレーに誕生させたワイナリーなのだそう。
多くのワイン愛好家から高い評価を得ていて、そのなかでも「asatsuyu(あさつゆ)」は大人気のワインとのこと。

オープンキッチンではテキパキとお料理が出来上がっていきます。
三方向からお客さんに見られる中でのお料理づくり・・・緊張するでしょうね。
観ている側のchirosukeは、エンタメ感があってすごく楽しいです。

「恵み」
高畠町 高野尾さんの猪
 小林豆腐店の青菜漬
 鈴木酒造店の酒粕

お椀の中は粕汁です。
猪のお肉!
昨夜は熊肉をいただき、今日は猪です。
とってもジビエなchirosukeです。
おいしい粕汁でした。

日本酒が来ました。
次々にお酒がくるので、chirosuke全ての写真が撮れません。
お酒もワインも、とにかくおいしい~!

お料理もどんどんできていきます。
お料理をする姿って、キビキビしてて無駄が無くて美しいと思います。

昔、chirosukeは初めてクラシックのオーケストラを聴きにいった時、バイオリンを演奏する人の流れるような姿を観て、時々食べに行っていたラーメン屋さんのお兄さんの無駄がない動きと似ているじゃないかと思いました。
真剣にお仕事をする姿って本当に美しいと思います。

「山海」
古志田 吉田さんの雪菜
 北海道産 鱒

きれいな鱒です。
雪菜は、米沢の冬の伝統野菜で雪の中で育てるのだそう。
米沢藩9代藩主上杉鷹山が、冬の野菜を確保するために栽培を奨励したと伝わっています。

8月下旬から9月上旬に種をまき、11月頃、60cmぐらいに生長した株をいったん土から抜き取るそうです。
その後、収穫した雪菜を10株ほどずつ束ね地面に立てて並べ、その周囲をワラと土で囲い込んで雪室をつくります。
これが「床寄せ作業」という雪菜独特の栽培方法なのですって。
あとは、雪が降るのをじっと待ちます。
雪が降り積もり周囲が雪で覆われると、雪室の中の気温と湿度が一定になり、その中で雪菜は成長を続けるのだそうです。
床寄せ作業から約40日後、雪下で出た花茎が30cm程度になったら収穫なのです。

雪菜、奥深い野菜です。

ここで社長さん登場です。
ユニークなトークですが、とっても山形愛、瀧波愛の深さを感じます。
お料理のお運びもされる社長さんであります。

かわいいトリさんラベルのワインです。
酒井ワイナリーの「尉鶲(じょうびたき)」
天童市で収穫された甲州を皮ごと仕込んだオレンジワイン。
色合いは畑でも見かける野鳥、尉鶲(ジョウビタキ)の鮮やかな橙色です。
きめ細やかな泡立ちの辛口のスパークリングワインです。
おいしいです。

酒井ワイナリーは、赤湯温泉に店舗を構える、創業明治25年(1892)の東北最古のワイナリーなのだそう。

「お凌ぎ」
打ち立て蕎麦

これは夕方開催される「そば打ちパフォーマンス」でできた蕎麦です。
そば粉アレルギーのchirosukeには「麦切り」を出していただきました。
麦切りは、山形の庄内地方で昔から食べられている、小麦粉を塩水で捏ねて細く切った麺類だそうです。
chirosukeは「うどん」との違いがわからないのですが、麦切りはおいしいです。

「冬凪」
高畠町産 打ち豆
 81の茎立
三陸産 鰆

緑が美しいお料理です。
「打ち豆」は、東北地方などで作られる大豆の保存食なのだそう。
大豆をつぶして平たくし、乾燥させたものを「打ち豆」と呼びます。
雪深い日本海側や東北などで、古くから冬になると各家庭で作られ、いろんな料理に利用されるとのことです。

茎立って何でしょう。
chirosuke調べてみました。
茎立は「くきたち」と読み、主に米沢市に伝わるアブラナ科の野菜のことです。
くきたちと呼ばれる野菜には葉の形状が違うものもあるそうですが、どれもアブラナ科の野菜を指し、同じ名前で呼んでいるそうです。

緑色のソースでいただく鰆はおいしかったです。

ご飯の土鍋に火が入りました。
お米は黒澤ファームの夢ごこち。

一組毎にカセットコンロに土鍋がセットされて、目の前でご飯が炊かれて行きます。
通気孔から湯気が噴き出したら、クロモジの枝を差し込むようにスタッフさんから指示が来ました。
これで鍋の中の対流が活発化して、おいしいご飯が炊きあがるのですって。

「郷土」
舟形マッシュルーム

小さくてかわいいコロッケにはソースをかけていただきます。

山形県最上郡舟形町で栽培されている超大きいマッシュルームは美しいバラの花になっていました。
とてもきれい!
そしておいしいです。

お料理も進んでおります。

お口直しの、「山葡萄のグラニテ」です。

「置賜」
米沢牛
 大富農産 山葵
 高畠町 吉田さんの黒にんにく
 81の白菜

お肉です。
最初見せてもらった米沢牛の「シンタマ」がステーキで出てきました。
山葵でいただくとめちゃうまです。

白菜のお浸しも甘いです。

ご飯もおいしく炊きあがりました!

「馳走」
黒澤ファームの夢ごこち

!炊きたてご飯もおいしい。
香の物もあります。
そして瀧波さんのお約束、お肉の追加が2切れずつありました。

夕食のお米は「夢ごこち」、朝食は「つや姫」とのこと。
チェックアウト時にお土産のお米をそれぞれ300gいただけるそうです。
社長さんが「お土産大作戦」とのことで、瀧波とラインでお友達になったら更にもう一袋づつお渡ししますと仰ってました。
「お土産大作戦」・・・何てベタなネーミング・・・。
chirosukeとSちゃんは、前回ラインでお友達になっているので2袋ずついただけます~!

お味噌汁の準備がされています。
朱塗りの器がとてもきれいです。
chirosukeは朱塗りのお椀が大好き。
遠野物語の「マヨイガ」を思い出します。
物語の終盤、川上から流れてきた「赤き椀」でありますね。

「留」
自家製味噌
三陸産 わかめ

瓢箪のような赤いお椀、とても良い感じです。
このかたちのお椀、東京でも探したのですが見つかりませんでした。

ソムリエさんが出してくださったのは、「ラフランスのリキュール」です。
いやん、おいしい~!

「お楽しみ」
ハンドレッドベリーズの雪国レモン

冷たくておいしいジェラートです。

デザートを食べ終わる頃、料理長さんがご挨拶をされました。
置賜の素晴らしい食材をもっと提供したいとの、山形愛に溢れた言葉にchirosukeは今回も感動しました。
おいしいお料理とお酒をありがとうございました!
ごちそうさまでした。

そして社長さんのご挨拶。
瀧波が大変な時を乗り越えてチャレンジしてきたことが感じられます。
瀧波愛、そして山形愛がいっぱいでした。
そしてこれからも進化していくのだろうな・・・と思ったchirosukeです。

食材や生産者さんの紹介、料理長さんとスタッフさん&ソムリエさんによる調理、盛付、提供、会話。
お食事をするという一連の流れが目の前で披露されるライブキッチンは、とても楽しいものでした。
これは「いただきます」から「ごちそうさまでした」まで、chirosuke達も参加しているのだなと感じます。

社長さんまで登場するライブキッチン。
これはスタッフさんとお客さんでつくるパフォーマンスであります。
巻き込まれ型とでも言いましょうか、ひらたくいえば「楽しんだ者勝ち」でありましょう。

今夜もchirosukeが大好きな「お夜食」がありました!
おにぎりを部屋にお持ち帰りです。
お夜食もごちそうさまでした。

おいしいご飯とお酒とお夜食でお腹いっぱい。
ふかふかのお布団でぐっすり眠った良い子たちでありました。

chirosuke山形県に行く 「赤湯温泉 山形座 瀧波 3日目朝食 編」(2024年2月) に続きます~!

2023年に観た舞台と映画のランキングです


chirosukeの年末のお約束、2023年に観た舞台と映画のランキングを、Excel表にしてみました。
(2022年分は2022年12月30日のブログをみてね)

今年観た舞台3本、映画12本、美術展15回でありました。
去年は舞台3本、映画19本、美術展20回でしたから、映画、美術展ともに減っています。
舞台も以前に比べたら少ないままです。

コロナが5類に変更となり、娯楽は復活してきたと思います。
しかし、開演直前での公演中止や観客が入った後の中止発表などもたまにあるようです。
劇場の灯が消えることはありませんが、2.5次元物が多く、chirosukeが好きな演目は少なかったです。

コロナ禍で人がひそやかに暮している時も、桜は咲きました。
日本には四季があって、季節ごとに花は咲きます。
chirosukeもできる限り自然の美しさに触れました。

3月・・・松戸市 坂川沿いの河津桜
3月・・・松戸神社のソメイヨシノ
3月・・・夙川公園の桜並木
4月・・・忍野八海の桜
4月・・・えんざん桃源郷ひな飾りと桃の花まつり
7月・・・入谷の朝顔市
9月・・・仙石原のすすき草原
11月・・・那須塩原の紅葉

松戸は自然が多く、近場でも美しい景色を見ることができます。
今年は大阪の実家に数回帰省したり、温泉に度々出かけたりで菜の花や薔薇や紫陽花等を見に行けませんでした。
塩山の桃の花祭りは桃の開花が早く行った時は終わりかけ・・・。
那須塩原の紅葉も色づきが遅く、タイミングが合いませんでした。
自然相手は難しいです。

◆旅行◆
今年も温泉も含め旅行は沢山いきました。
大阪の実家への帰省も5回あり、毎月どこかに行っているような頻度で、chirosukeは遊びまわっておりました。
旅行も表にまとめてみました。

今年も軽井沢のアンシェントホテルには2回行きました。
1月のシーズンオフ1泊目はchirosuke達の貸切状態でした。
GWは3泊して軽井沢を満喫しました。

天龍峡には片道5時間かけて行きましたが、行ったかいがありました。
飯田市の味噌蔵元の甘酒や味噌は大変おいしかったです。

塩原温泉の「湯の花荘」がとても気に入って紅葉の時季にも行きました。
「殺生石」を見に行って、コドモchirosukeが感じていた「理不尽な物語」に向き合えました。

「坐忘」にも2回行きました。
洞窟風呂と茶料理は最高です。
お友達にも紹介できて良かったです。

宮城県では「こけし村」でこけしの奥深さに驚きました。
「蔵王キツネ村」でホッキョクシロギツネの赤ちゃんを抱っこできたことは嬉しかったです。

水上温泉の「尚文」では夏のごちそう「鮎づくし」のお料理で、夕食に鮎をひとり4匹いただきました。
また夏に行きたいと思います。

「山形座瀧波」のエンタメ感いっぱいのおもてなしには感動しました。
是非リピートしたいお宿です。

忍野八海は雨でしたが景色は美しかったです。
またリベンジしたい場所です。

福島の「里の湯」の貸切風呂には感動しかありません。
また会津の「三五八」はお料理に欠かせないものとなりました。

◆舞台◆
chirosukeは楽しみのために、お仕事の合間の時間とお金をやりくりして劇場に行きます。
毎回ですが「きらいなものをきらいというより、好きなものを好きだと言おう」がモットーのブログなので、今回も★マークで振り返ってみました。
公演数は少ないですが、2023年舞台ランキング表です。

chirosukeの「良かった舞台」の定義は「同じチケット代でもう一度同じ舞台を観たいか?」です。
★の数で記載しました。
(チケット料金は割引・リセール等実際に購入した金額で記載しています。手数料や送料等は入っていません。)
★★★・・・無理しても観たい(チケット代を何とか工面してでも時間作って観たい)
★★・・・機会があれば観たい(お金と時間に少し余裕があれば観たい)
★・・・余裕あれば観たい(たまたまお金もあって暇ならば観たい)

ウクライナの戦争は終わりが見えず、心が痛いです。
観たいバレエの来日公演はほとんどありませんでした。
マリインスキー劇場やボリショイのバレエを再び喜んで観ることができる日が来るのでしょうか。
世界のあちこちで起きている分断と紛争に、芸術はなりを潜めざるを得ないのかもです。

チケットを取っていた「マチルダ」が、帰省と重なり観られなかったことは残念です。
そして「ファインディング・ネバーランド」は間違いなく名作です。

◆映画◆
2023年映画ランキング表です。
chirosukeの「良かった映画」の定義は「通常料金で満足できたか」です。
こちらも★の数で記載です。
★★★・・・通常料金でも満足(これは絶対映画館で観ないと損)
★★・・・割引デー(1,000円程度)なら納得(映画館で観る価値はあり)
★・・・TVで充分(わざわざ映画でなくても・・・)

映画は楽しめる作品が多かったです。

「かがみの孤城」では原作の素晴らしさが際立つ演出で良かったと思います。

「鬼滅の刃」は大スクリーンの迫力と声優さんの力量に泣きました。

「バビロン」は退廃的で豪華でやり切れない作品ですが、chirosukeは大好きです。
なぜこの作品より「あっち」の作品がアカデミー賞をとったのか・・・。
アカデミー賞という権威に疑問符がいっぱいです。

「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」でハリソン・フォードが臆せずに演じた「老い」には共感できました。
chirosukeにとって永遠のジョーンズ博士でありました。

「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」には泣きました。
深い・・・本当に深いテーマです。
これをしっかりエンタメで見せてくれるのは素晴らしい!

「翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~」は凄い作品だと思います。
娯楽だもの、こんな世界観が良いじゃないか!

◆美術展◆
美術展は展示内容がバラエティに富んでいるので今回もランク付けは無しです。
例年通り、一覧表だけ作成しました。
(チケット料金は割引適用後、特典付きチケットの場合はその料金で記載しています)

コロナをきっかけに美術館は行きたい時に気軽に行ける場所では無くなりました。
日時指定のチケットが通常化してきました。

軽井沢に新しくできた安東美術館には2回行きました。
藤田嗣治だけの美術館。
作品ももちろん素晴らしいですが、この美術館をつくられた安東夫妻の心意気に感動します。

「ヒグチユウコ展」はとても素晴らしく、chirosukeの「大好き」が広がりました。
ぬいぐるみの「ニャンコ」に泣きました。

コレクションしているアンティークでは、フランスアンティーク「メルスリーボックス」やクロモスの額が増えました。
「Art Y’s 」さんのセレクションボックス、富野有紀子先生のうさぎドールもお迎えできました。
コドモchirosukeが「わぁ~! すごい!」と驚くような可愛らしさでありますよ。

自由が丘の「ボンクラージュ」が来年3月で閉店してしまうのは残念ですが、オンラインショップの復活を心待ちにしたいと思います。
閉店前にお店に行けたのも東京にいるからこそです。

chirosukeは来年も引き続き、座右の銘
「ええかげんは芸の神髄、意味づけは時の権力」
「人生は深刻だが、芸術は楽しい」
でやっていきます。

去年と同様、どんな時でも人の想像力は無限だということを信じていきたいです。
舞台やコンサートが制限なく開催されますように。
行きたい時に気軽に美術館に行けますように。
海外との文化交流が復活しますように。
日本中の観光地に活気が戻りますように。
そして、ウクライナやガザの人たちに一日も早く安息の日々が訪れることを願ってやみません。

来年も、心の奥に届く美しいもの、楽しいものに出会えますように!

歌舞伎座新開場十周年 十二月大歌舞伎「旅噂岡崎猫・超歌舞伎 Powered by NTT 今昔饗宴千本桜」


chirosukeは数年ぶりに歌舞伎座へ行ってまいりました。
何とSちゃんがクリスマスプレゼントに歌舞伎のチケットを取ってくれたのであります!

演目は「旅噂岡崎猫・超歌舞伎 Powered by NTT 今昔饗宴千本桜」です。
「超歌舞伎 Powered by NTT 今昔饗宴千本桜」の方には「初音ミク」が出演しているのですって。
え?
初音ミクって舞台に立てるの?

chirosukeは殆ど知らないけど「初音ミク」って2次元の女の子で「ボーカロイド」と言われてて、合成音声で歌を歌うのではなかったっけ?
いわゆる「バーチャルシンガー」のはず・・・。
そのバーチャルの2次元女子が歌舞伎座?

千本桜って、chirosukeが知っている「義経千本桜」のこと?
中村獅童さんと初音ミクちゃんが「宙乗り」するそうです。
chirosukeは想像も出来ない舞台に頭がぐるぐるです・・・。

まずは歌舞伎座にGO!

歌舞伎座、久しぶりです~!

開演前に緞帳のお披露目もありました。
華やかな緞帳のなかでchirosukeが気に入ったのは、華麗な牡丹です。
織物なのですね。
素晴らしい~!

そして今回の公演の何よりの見せ場は、中村獅童さんの次男「小川夏幹」くんの初舞台でありましょう。
既にお兄ちゃんの長男・陽喜(はるき)くんはで歌舞伎デビューを果たしています。

夏幹くんは「今昔饗宴千本桜」の夏櫻丸役で初お目見得なのです。
いやん、3歳!
かわいらしすぎる・・・!

歌舞伎のお家に生まれるって、こういうことなんだな。
誰に言われなくとも、歌舞伎役者の道を歩むのだね・・・。
歌舞伎に限ったことではなく「家業を継ぐ」宿命を背負う人は多いのでしょう。
chirosukeは、何も背負わない一般庶民のお家に生まれ育ちましたが、今のところナニモノにも成れていません。
生粋の一般庶民になりました・・・。

夏幹くん、がんばって!
と、歌舞伎ファンでもないchirosukeですが、3歳児の歌舞伎座の初舞台を見届けようと両手をグーです。

歌舞伎観劇のお約束「筋書き」です。

Sちゃんがプレゼントしてくれたチケットは「第一部」です。
「旅噂岡崎猫」と「超歌舞伎 Powered by NTT今昔饗宴千本桜」の2演目。

2023年12月24日(日)
歌舞伎座
上演時間
旅噂岡崎猫 11:00-11:45
幕間 35分
超歌舞伎 Powered by NTT今昔饗宴千本桜 12:20-1:45

1等席 16,000円
座席:2階 西桟敷 5番

第一部
奈河彰輔 脚本
石川耕士 補綴・演出
二世市川猿翁 演出

一、旅噂岡崎猫(たびのうわさおかざきのねこ)
おさん実は猫の怪:巳之助
由井民部之助:橋之助
お袖:新悟

松岡 亮 脚本
藤間勘十郎 演出・振付
二、超歌舞伎 Powered by NTT今昔饗宴千本桜(はなくらべせんぼんざくら)
中村獅童、初音ミク 宙乗り相勤め申し候

佐藤四郎兵衛忠信:獅童
美玖姫:初音ミク
蝶の精:種之助
陽櫻丸/狐の精:小川陽喜
夏櫻丸:初お目見得 小川夏幹(獅童次男)
初音の前:蝶紫
青龍の精:國矢
頭取:青虎
神女舞鶴姫:七之助
朱雀の尊:勘九郎

座席は桟敷席でした。
「2階 西桟敷 5番」
座席は抽選だったのでチケットを発券するまで解らなかったそうです。

桟敷は掘りごたつみたいで靴を脱いで座ります。
掘りごたつが苦手なchirosukeは出入りにちょっと苦労しましたが、座ってしまうとテーブルもあるしラクチンです。

座席の下が「花道」なので、身を乗り出さないと見切れてしまいます。
後ろに座席がないので気が楽ではありますね。

「旅噂岡崎猫(たびのうわさおかざきのねこ)」は、化け猫伝説を題材に趣向が凝らされた作品です。

由井民部之助とお袖夫婦は幼い子を連れて、東海道の岡崎宿の外れまでやって来ます。
夜も更けて、無量寺に一夜の宿を求め泊まることになります。
寺を預かる老婆「おさん」は病死したはずのお袖の母と瓜二つ。
老婆は初孫を見て喜びますが、その正体は恐ろしい猫の怪だった・・・というお話しです。

chirosukeは初めて観た演目ですが、なかなか面白かったです。
おさん実は猫の怪を演じる巳之助さんがとても良かったです。
お婆さんの時は、腰も曲がっていてよたよた動きます。
怪しいんだけど、本当にお婆さんに見えるからすごいなぁ。

化け猫になった時、若い娘や旅の夫婦に襲い掛かる場面はマジ怖ろしいです。
血しぶきがばっしゃ~!
食いちぎられた身体の一部がゴロゴロ転がって、歌舞伎って容赦ないです。

そして化け猫の身体能力高し!
さっきまでのよぼよぼのお婆さんが、走ったり回転したりよじ登ったり飛び降りたり、すごいスピードで舞台を暴れまわります。
巳之助さん凄い!

chirosukeは、スーパー歌舞伎Ⅱ「ワンピース」のボン・クレーを観た時から密かに巳之助さんの隠れファンであります。

歌舞伎と言えば幕間に食すお弁当です。

歌舞伎座のB2にある木挽町広場でお弁当を身請けしていました。

Sちゃんはお弁当「藤むすめ」、chirosukeは「ばらちらし」をチョイス。
幕間にいただきました。
テーブルがあるのはとても便利です。

「超歌舞伎 Powered by NTT今昔饗宴千本桜」の上演前には緞帳にプロジェクションマッピングで桜の映像が投影されました。

「超歌舞伎 Powered by NTT今昔饗宴千本桜(はなくらべせんぼんざくら)」は、「義経千本桜」とは違うお話しでした。

古典歌舞伎とNTTの技術を始めとした最新のテクノロジーが融合した「超歌舞伎」というそうです。
中村獅童さん演じる佐藤四郎兵衛忠信と、美玖姫(初音ミク)が、離れ離れになった千年後に再会し、枯れてしまった千本桜を再び咲かせる為、敵に立ち向かうお話しです。
初音ミクは舞台に投影されていました。
観客がペンライトやサイリウムでの応援OK、大向こうの掛け声を自由にかけることができました。
普段の歌舞伎座では見られない光景で、楽しかったです。

歌舞伎は歴史の中で、当時の新しいものや人気のある事柄を取り入れて続いてきたので、新しい試みは良いことだと思いました。
初音ミクのファンの方達の熱気のある応援が良い感じでした。

chirosukeは、中村獅童さんの次男「小川夏幹」くん3歳が花道をトコトコ走って舞台に出た時、両手をグーでした。
こんなに小さいのに・・・衣装を着て、一人で走って来て台詞を言うなんて!
本当にかわいくて涙目であります。
すっかり「お母ちゃん」の気持ちになってしまったchirosukeは思わず桟敷席から声をかけてしまいました。
「えらいぞ~!」
皆さんのように「萬屋!」とか「初音屋!」とかではなく「えらいぞ~!」であります・・・。

そして夏幹くんの台詞「我こそは、夏櫻丸なり~!」は、chirosukeの耳には「われこそは、なつおうまる、なるなりよ!」と聴こえてしまったのでした。
いやん、コロ助・・・!
chirosukeにとっては、初音ミクよりコロ助推しの舞台でありました。

とても楽しい舞台でした。
Sちゃん、素敵なクリスマスプレゼントをありがとうでした!

NODA・MAP第26回公演 「兎、波を走る」


chirosukeは、NODA・MAP第25回公演 「兎、波を走る」を観に行ってまいりました。

https://www.nodamap.com/usagi/

NODA・MAP第26回公演 「兎、波を走る」

2023年7月25日(火) 19:00~
上演時間:2時間10分(途中休憩なし)
開 演  19:00
終 演  21:10

東京芸術劇場プレイハウス
作・演出:野田秀樹

座席は S席2階E列 中央ブロック (12,000円)

【公演情報】
東京公演:東京芸術劇場プレイハウス 2023年6月17日(土)~7月30日(日)
大阪公演:新歌舞伎座 2023年8月3日(木)~8月13日(日)
博多公演:博多座 2023年8月17日(木)~8月27日(日)

【キャスト】
脱兎:高橋一生
アリスの母:松たか子
アリス:多部未華子
元女優ヤネフスマヤ:秋山菜津子
知恵豊富:大蔵孝二
シャイロック・ホームズ:大鶴佐助
東急半ズボン教官:山崎一
ブレルヒト:野田秀樹

【STAFF】
美術: 堀尾幸男
照明: 服部基
衣裳: ひびのこづえ
音楽・効果: 原摩利彦
音響: 藤本純子
振付: 井手茂太
ヘアメイク: 赤松絵利
人形:沢則行
映像:上田大樹
舞台監督: 瀬﨑将孝
プロデューサー: 鈴木弘之
企画・製作: NODA・MAP

今回、どうしてもチケットが取れず・・・。
chirosukeはめちゃくちゃ頑張ったのですが、土日のチケットは何度も落選。
ようやく1枚だけ平日の夜公演が取れました。
これは平日でも取れてラッキーだったのでしょう。
座席は2階の中央ブロックとは言え、E列は最後列であります。
恐るべし、野田MAP!

野田さん、2年ぶりの最新作です。
「兎、波を走る」、chirosukeの感想は・・・
楽しくて、目まぐるしくて、凄まじくて、最後は心が抉られるような衝撃の舞台でした。

潰れかかった遊園地を舞台に、アリス、アリスの母、白うさぎが登場します。
チェーホフは知恵豊富に、ブレヒトはブレルヒトに・・・。
元演劇少女chirosukeはケラケラ笑いながら観ていました。

高橋一生さん、「フェイクスピア」から凄かったですが、今回も素晴らしい演技に感動です。
アリスを演じた多部未華子さん、かわいい!
素直で真っすぐな目力は、後半chirosukeの心に刺さりました。
アリスの母を演じた松たか子さん、chirosukeは演技に泣きました。

野田さんのお約束、物語が進むにつれ、表層部分は剥がれ落ち、コトバは別の意味を持ってぐいぐいと客席を包み込んできます。
野田さんの放つ、軽やかなコトバ遊びの先の「あの国」。
「もうそうするしか無い」現実の国。
産みの母、育ての母、亡命する兎・・・。

そして、「38度」「国境警備兵」「工作員」「招待所」「拉致」・・・不穏なキーワードが次々に現れ、次第に物語の本当の姿が見えてきた時chirosukeが感じたのは、不条理と絶望でした。
アリスは兎を追いかけて行ったのではない。
兎がアリスを連れて行ったのでした。

後半はまるでchirosukeも頭から袋を被せられ、小舟に乗せられ、日常から、家族から、友人から、母親から、人生から、祖国から引き離されるような苦しさです。

アリスの母の台詞「どんなに闇が深くても、私の愛は闇よりも深い。あなたが消えていったその闇よりも。」
chirosukeは涙が止まらなくて・・・。

本当に現在進行形で起きている出来事です。
「強がり思い上がり独りよがり」の若者たちが引き起こした昭和のハイジャック事件も含めて、劇場にいる若い人たちの中には知らない人もいるだろうな・・。
不条理としか言いようの無い、あまりに酷いできごとです。

忘れてはならない、でもそれだけではアリス達は帰ってこない。
何が出来るだろう・・・どうしたらいいんだろう・・・。
脱兎はアリスの母に深く深く頭を下げていました。
chirosukeも心の中で、何も出来ない歯がゆさで心の中で「ごめんなさい」と繰り返しました。

テーマがテーマだけに重苦しい雰囲気ではありましたが、場面転換の紙の扱いやプロジェクションマッピングを上手く利用した舞台は見事!
高橋一生さん、本当に宙を飛んでいるとchirosukeは思いましたもの。
平日だったけどこの舞台を1度でも観ることができて良かった!

劇場でパンフレットと戯曲「兎、波を走る」が掲載されている新潮を身請けしました。

「公式パンフレット」  1,300円 (税込)
A5版サイズ・全ページフルカラー

・メインキャスト総勢8名の最新インタビュー
・写真家・篠山紀信による撮り下ろしポートレート、稽古場写真
・野田秀樹との対談
《スラブ文学者 沼野充義》
ロシア文学評論・翻訳の第一人者が語る“チェーホフ”の現代性と野田作品の共通点とは・・・
《脳科学者 中野信子》
野田秀樹の疑問に脳科学者が答える
・新進気鋭の演出家・杉原邦生による稽古場レポート
・豪華プランナー陣による描き下ろしスケッチ

戯曲「兎、波を走る」」が掲載されている「新潮8月号」です。

この雑誌、欲しい時にはすぐ売り切れになっちゃうことが多いので、この機会にゲットです。
舞台を観終わってからじっくり読みたい戯曲です。

・新潮8月号  1,200円

この戯曲以外に読みたいところって、あんまり無いのよね・・・。
特集は「坂本龍一」を読む だし。

谷川俊太郎の詩が数篇掲載されていて、ちょっと好きなのがあって良かったかな。
久々に文学少女chirosukeでありますね。
たまには文学・・・してみよう。

公演終了後、劇場のロビーに展示された舞台装置の模型です。

沢山の人が並んで写真を撮っていました。
chirosukeも並んで撮影してきました。

野田さんのお芝居を観ることができて、東京万歳! はまだまだ続くchirosukeであります。

ミュージカル「ファインディング・ネバーランド」


chirosukeは、新国立劇場 中劇場に「ファインディング・ネバーランド」を観に行ってまいりました。

この作品は、2017年9月にシアターオーブで、ブロードウェイの来日公演を2回観ています。
chirosukeが大好きな作品のひとつであります。

素晴らしい舞台です。
chirosukeの座右の銘「人の想像力は素晴らしい。それをかたちにすることはもっと素晴らしい」が何度も語られ歌われます。
(ブロードウェイミュージカル「ファインディング・ネバーランド」については、2017年9月9日2017年9月16日のブログをみてね)

ファインディング・ネバーランドHP

「ファインディング・ネバーランド」

2023年5月20日(土) 17:30~
上演時間:2時間50分
開 演  17:30
第一幕 1時間20分
休 憩  20分
第二幕 1時間10分
終 演 20時20分
新国立劇場 中劇場

座席は S席2階1列下手ブロック  (14,000円)

「キャスト」
ジェームズ・バリ:山崎育三郎
シルヴィア・デイヴィス:濱田めぐみ
フック船長/チャールズ・フローマン:武田真治
メアリー・バリ:夢咲ねね
デュ・モーリエ夫人:杜けあき
キャナン卿:遠山裕介
クローマー:廣川三憲
ヘンショー:星 智也
家塚敦子、石川 剛、伊藤かの子、榎本成志、大久保芽依、工藤 彩、塩川ちひろ、永松 樹、福島玖宇也、MAOTO、ルイス魅麗セーラ
ジョージ:越永健太郎、ポピエルマレック健太朗(Wキャスト)
ジャック:生出真太郎、豊田侑泉(Wキャスト)
ピーター:小野桜介、長谷川悠大(Wキャスト)
マイケル:奥田奏太、谷慶人(Wキャスト)
スウィング:大倉杏菜、齋藤信吾

「スタッフ」
原作:デヴィッド・マギー脚本によるミラマックス映画作品 アラン・ニーによる戯曲『The Man Who Was Peter Pan』
台本:ジェームズ・グラハム
作曲・作詞:ゲイリー・バーロウ&エリオット・ケネディ
翻訳・演出:小山ゆうな
訳詞:高橋亜子
音楽監督:小澤時史  
美術:二村周作  
照明:勝柴次朗
音響:山本浩一
映像:上田大樹
衣裳:前田文子  
ヘアメイク:宮内宏明
振付:松田尚子  
歌唱指導:亜久里夏代
稽古ピアノ:森本夏生
演出助手:河合範子
舞台監督:小笠原幹夫

ミュージカル「ファインディング・ネバーランド」は、アラン・ニーによる戯曲『The Man Who Was Peter Pan』と、ジョニー・デップ主演で2004年(日本では2005年)に公開された同タイトルの映画(邦題「ネバーランド」)を元に創られたミュージカル作品です。

物語の主人公は、名作「ピーターパン」の作者である劇作家ジェームス・バリです。
スランプから抜け出せないバリが、ある家族に出会い、子供たちとの出逢いを通じて物語を書き上げます。
当時のイギリスでは、演劇は上流階級だけのものでした。
バリが「子供も楽しめるファンタジー作品を上演したい」と提案すると、劇場主や劇団員たちから猛反対されます。

バリと未亡人シルヴィアと4人の子供達との交流、劇場側とのやり取りが平行して描かれます。
上流階級に属しているバリとその妻とのすれ違い、シルヴィアの母親も登場して物語は進んで行きますが、どうしようもない悲劇が待っています。
その悲劇を乗り越えた先にある感動が心を揺さぶります。

演出の完成度の高さではブロードウェイ版だったかなとchirosukeは思いました。
でもバリを演じた山崎育三郎さんの演技は素晴らしかったです。
歌が上手いのはもちろんですが、子供たちと無心に遊ぶ姿がとても自然で、バリの中にある「子供らしさ」が感じられてchirosukeは涙目でした。

シルヴィアを演じた濱田めぐみさん、chirosukeは泣きました。
子供たちの前では決して弱さを見せない、強い母親でした。

バリの妻のメアリーを演じた夢咲ねねさんも良かったです。
ブロードウェイ版では、上流階級のすましたヒール役?と思っていましたが、バリとのすれ違いに悩む姿がいじらしくて、別れた後に公園でバリと再会するシーン等はとても逞しく、かわいい!
思わず「メアリー、なかなか良い人じゃないか!」とchirosukeは笑ってしまいました。
演出だったのかも知れませんが、夢咲ねねさんの魅力でしょう。

ルヴィアの母のデュ・モーリエ夫人を演じた杜けあきさん。
存在感がすごい!
歌が迫力です。
元タカラヅカの女優さんって、ほんとにオーラがありますね。

子役のキャスティングは 『PLAY』チームでした。
ポピエルマレック健太朗君、豊田侑泉君、小野桜介君、奥田奏太君、素敵な4人兄弟でした。

そして、武田真治さん!
フック船長はとってもカッコ良くて、魅力的でした。
時々、ジョニー・デップに見えちゃいました。

プログラムも身請けしました。

・公演プログラム 2,000円 (税込)

この作品は、本当はもっと早く(2019年)に日本版キャストで上演されるはずでした。
バリ役には石丸幹二さんが決定していました。
でも、いろいろオトナのお約束で上演は中止となり、chirosukeはとても残念でした。

ブロードウェイで作品に関わった人がどうであれ、作品に罪は無いというのがchirosukeの持論です。
こんな素晴らしい作品がお蔵入りしてしまうことの方がずっとずっと罪深い・・・ことだと思います。

今回、素晴らしいキャストで観ることができて本当に嬉しく思いました。
PLAYは芝居=遊びなんだもの。

人はいつまでも子供のままではいられないという事実を、鮮やかにひっくり返してくれる。
素敵な舞台です。
感動とか実話とかそんなの関係なく、もっと心の奥に響いてくるような物語です。

自分の夢や希望を捨てることが大人になることではない、「想像」が生み出す世界をつくることができる大人が素晴らしいです。
物語(ファンタジー)の力はすごいんだな。

「ファインディング・ネバーランド」には、舞台を作り上げることの素晴らしさ、舞台そのものの魅力がしっかり描かれていました。
それは舞台に夢を追う観客に対しても同じです。
これは「名作」だとchirosukeは思います。

ブロードウェイ版の時も書いたのと同じ言葉を書いておきたいと思います。
「舞台は好き嫌いです。
もしこの舞台が嫌いだという人がいたらそれはその人の勝手ですが、きっとchirosukeとはお友達にはなれないと思います。」

素晴らしい舞台をありがとうでした!

ミュージカル「マチルダ」


今回、「マチルダ」のチケットを取って楽しみにしていたchirosukeですが、残念ながら観に行くことができませんでした。

ミュージカル「マチルダ」
2023年4月1日(土)
11:45開場 12:30開演
東急シアターオーブ
座席はS席 1階22列 下手ブロック通路端
(14,000円)

https://matilda2023.jp/

上演時間 : 約2時間40分
1幕:75分
休憩:20分
2幕:65分

脚本: デニス・ケリー
音楽・歌詞:ティム・ミンチン
脚色・演出:マシュー・ウォーチャス
振付:ピーター・ダーリング
デザイン:ロブ・ハウウェル
オーケストレーション・追加音楽:クリストファー・ナイチンゲール
照明:ヒュー・ヴァンストーン
音響:サイモン・ベーカー
イリュージョン:ポール・キーヴ 

「日本公演スタッフ」
翻訳:常田景子
訳詞:高橋亜子
演出補:西 祐子 藤倉 梓
振付補:前田清実
音楽監督補:竹内 聡
照明補:大島祐夫 岡崎 亘
音響補:佐藤日出夫
衣裳補:阿部朱美
ヘアメイク補:鎌田直樹
舞台監督:北條 孝 田中直明
プロダクション・マネージャー:田中孝昭
宣伝美術:服部浩臣

「キャスト」
マチルダ(クワトロキャスト):嘉村咲良/熊野みのり/寺田美蘭/三上野乃花
ミス・トランチブル(トリプルキャスト):大貫勇輔/小野田龍之介/木村達成
ミス・ハニー(Wキャスト):咲妃みゆ/昆夏美
ミセス・ワームウッド(Wキャスト):霧矢大夢/大塚千弘
ミスター・ワームウッド(Wキャスト): 田代万里生/斎藤司

この作品は、英国ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーが2010年に製作し、瞬く間にウエストエンドで最も人気のある作品となったそうです。
2023年3月、日本オリジナルキャストで上演となりました。

chirosukeが観たいと思った理由がふたつ。
原作がロアルド・ダールだったこと。(マチルダは小さな大天才)
英国ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーが制作したこと。
理不尽になオトナの世界に対抗して、「そんなの正しくない」と行動するマチルダを楽しみにしていました。

ところが、chirosukeは急遽実家の急用で2023年3月31日~4月4日まで関西に帰省することになりました。
観られなくなるのはとても残念でしたが仕方ありません。
ただ、14,000円ものチケットが紙くずになるのはもったいない!
そこでお友達のSちゃんに、よかったら代わりに行ってくれないかとお願いしました。
当日予定が無かったSちゃんは快く行ってくれたのでした。

そして、チケット代が申し訳ないからせめて・・・と「プログラム」を買ってきてくれたのでした~!
ありがとうSちゃん!
行ってくれるだけでほっとしたのに、プログラムをもらえるなんて嬉しかったです。

「マチルダ」今回の感想はSちゃんのです。
・まず、マチルダ役の子役がキンキン声で聞き取り難く、特に歌の歌詞がほとんどわからなかった。
・オトナの俳優さん達はさすが上手くて良かった。
・コドモの役を一部オトナが演じているのに違和感あり。
・オトナとコドモのアンサンブルがバラバラで、動きやダンスがびしっと決まらない。
・父親役の斎藤司さんがとても上手くて、ほんとに「トレエン(トレンディエンジェル)の斎藤さん?」と思うくらいだった。
・元宝塚出身の女優さんはとても上手くてオーラがあった。
・校長先生が悪者なんだけど、校長が悪ってどうよ。校長は善で、悪は教頭じゃないの?
・全体的に、大人数のシーンは練習不足?と思った。

Sちゃん、率直な感想をありがとうです。
chirosukeも、制作発表時の「マチルダ」役の歌はキンキン声で確かに聞き取り難いと思ったけど、本番までには仕上げてくると思ってたのですが・・・。
感想を聞いて、大人数のシーンも含め「お稽古不足」かなと思いました。
chirosukeがYouTubeで観たロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの動画はとっても洗練されてて、エレガントだったもの。

間に合わなかったとは言え、プログラムの舞台写真も一部英国版を使っていたし、「マチルダ」はまだ発展途上の作品かも知れないなぁ。
これから日本で何度も上演されて、「レ・ミゼラブル」や「アニー」のような素晴らしい舞台に育っていくことを願っています。
そして、「トレエンの斎藤さん」は舞台でも活躍されてて、何とレ・ミゼのテナルディエも演じていたことが解りました。
chirosukeも斎藤さん、観たかったです。

マチルダが歌うNAUGHTY(ちょっと悪い子)が好き。
「人生が不公平なら 我慢より行動しなきゃ
・・・・・
耐え忍ぶのは、それでいいって言ってるのと同じ
それは 正しくない
・・・・・」
チェーホフが聞いたら卒倒しそうな歌詞・・・いいですねぇ。

「マチルダ」、いつかきっと舞台を観たいと思います。
Sちゃん、ありがとうでした!

2022年に観た舞台と映画のランキングです


chirosukeの年末のお約束、2022年に観た舞台と映画のランキングを、Excel表にしてみました。
(2021年分は2021年12月29日のブログをみてね)

今年観た舞台3本、映画19本、美術展20回でありました。
去年は舞台4本、映画6本、美術展8回でしたから、舞台以外はコロナ前に戻りつつあります。

コロナ禍が続く中、衰退していた娯楽は復活の兆しを見せてきたと思います。
しかし、開演直前での公演中止や観客が入った後の中止発表などが相次ぎ、本当に悔しくやり切れない思いをされた方も多かったでしょう。

様々なイベントが延期、中止になり、開催されても条件付き・制限ありのものもあったようです。
劇場の灯は消えませんでしたが、公演数は減ったと思います。

コロナ禍で人がひそやかに暮している時も、桜は咲いていました。
日本には四季があって、季節ごとに花は咲きます。
chirosukeはコロナ禍でも精一杯お出かけして、自然の美しさに触れました。

3月・・・松戸市 坂川沿いの河津桜
3月・・・松戸神社のソメイヨシノ
3月・・・江戸川河川敷のいちめんの菜の花
4月・・・福島県の三春の滝桜、花見山公園の桜
4月・・・水元公園の桜並木
5月・・・東京ガーデンテラスの薔薇
6月・・・水元公園の蓮池・花菖蒲・紫陽花
7月・・・世界遺産平泉 毛越寺(もうつうじ) の蓮池
10月・・・軽井沢・河口湖の紅葉

松戸は自然が多く、近場でも美しい景色を見ることができます。

◆旅行◆
今年は温泉も含め旅行は沢山いきました。
毎月どこかに行っているような頻度で、chirosukeは遊びまわっておりました。
旅行も表にまとめてみました。

軽井沢のアンシェントホテルには2回行きました。
大阪のお友達とアンシェントで過す時間は素敵でした。

金沢で老舗の飴屋さんに行ったり、きれいなお菓子を沢山身請けできたことは嬉しかったです。
岩手の龍泉洞の神秘的な美しさに涙目・・・。
遠野のオシラサマが継承されている不思議さにも涙目。
忍野八海の美しさは是非再訪したいと思いました。
山梨県の塩山の吊るし柿の景色には感動。
「坐忘」さんのおもてなしは素晴らしく、お友達にも紹介したいお宿でした。
寒波の湯田中温泉、桃山風呂の素晴らしさにもchirosukeは涙目であります。

◆舞台◆
chirosukeは楽しみのために、お仕事の合間の時間とお金をやりくりして劇場に行きます。
コロナで一部の楽しみは奪われましたが、へこんではいられません。
毎回ですが「きらいなものをきらいというより、好きなものを好きだと言おう」がモットーのブログなので、今回も★マークで振り返ってみました。
公演数は少ないですが、2022年舞台ランキング表です。

chirosukeの「良かった舞台」の定義は「同じチケット代でもう一度同じ舞台を観たいか?」です。
★の数で記載しました。
(チケット料金は割引・リセール等実際に購入した金額で記載しています。手数料や送料等は入っていません。)
★★★・・・無理しても観たい(チケット代を何とか工面してでも時間作って観たい)
★★・・・機会があれば観たい(お金と時間に少し余裕があれば観たい)
★・・・余裕あれば観たい(たまたまお金もあって暇ならば観たい)

新型コロナだけでなくウクライナの出来事に衝撃を受け、心が痛かったです。
結果バレエの来日公演はほとんどありませんでした。
マリインスキー劇場やボリショイのバレエを再び観ることができる日が来るのでしょうか。

◆映画◆
2022年映画ランキング表です。
chirosukeの「良かった映画」の定義は「通常料金で満足できたか」です。
こちらも★の数で記載です。
★★★・・・通常料金でも満足(これは絶対映画館で観ないと損)
★★・・・割引デー(1,000円程度)なら納得(映画館で観る価値はあり)
★・・・TVで充分(わざわざ映画でなくても・・・)

映画は1日に2本を観る日もあり、楽しめる作品が多かったです。

「シン・ウルトラマン」では山本耕史さんがメフィラス星人だったことが公になりましたね。
「すずめの戸締まり」では新海監督の覚悟に泣きました。
「さかなのこ」の、のんちゃんの演技が素晴らしかったです。
「ハケンアニメ!」に感動したchirosuke、辻村深月さんの原作文庫本を身請けしましたが「積ん読」になっております。

◆美術展◆
美術展は展示内容がバラエティに富んでいるので今回もランク付けは無しです。
例年通り、一覧表だけ作成しました。
(チケット料金は割引適用後、特典付きチケットの場合はその料金で記載しています)

軽井沢に新しくできた安東美術館は素晴らしいです。
藤田嗣治だけの美術館。
作品ももちろん素晴らしいですが、この美術館をつくられた安東夫妻の心意気に感動します。

コロナをきっかけに美術館は行きたい時に気軽に行ける場所では無くなりました。
日時指定のチケットが通常化してきました。

遠野に旅行したときに沢山の博物館を廻り、遠野物語の世界に触れられたことは嬉しかったです。
そしてカッパは多分、居ると確信したchirosukeです。
宮沢賢治の物語も素晴らしかったです。

コレクションしているアンティークでは、素晴らしいフランスアンティーク「ピンクのメルスリーボックス」を手元に置くことができました。
「Art Y’s 」さんのセレクションボックス、Angel wing さんのミニチュア作品、木下幸子先生のドールハウス、富野有紀子先生のうさぎドール、グーちゃんもお迎えできました。
コドモchirosukeが「わぁ~!すごい!」と驚くような可愛らしさでありますよ。

chirosukeは来年も引き続き、座右の銘
「ええかげんは芸の神髄、意味づけは時の権力」
「人生は深刻だが、芸術は楽しい」
でやっていきます。

新型コロナは来年5月に5類への移行が決まりました。
5類になっても感染したら辛いはず・・・。
chirosukeは幸い感染はしていませんが、引き続き自分でできる感染対策をしっかりして、強い心で生活を守ります。

去年と同様、どんな時でも人の想像力は無限だということを信じていきたいです。
舞台やコンサートが自由に開催されますように。
行きたい時に気軽に美術館に行けますように。
海外との文化交流が復活しますように。
日本中の観光地に活気が戻りますように。
そして、ウクライナの人たちに一日も早く安息の日々が訪れることを願ってやみません。

来年も、心の奥に届く美しいもの、楽しいものに出会えますように!

NODA・MAP第25回公演「『Q』:A Night At The Kabuki」


chirosukeは、NODA・MAP 第25回公演「『Q』:A Night At The Kabuki」を観に行ってまいりました。

https://www.nodamap.com/q2022/

NODA・MAP第25回公演「『Q』:A Night At The Kabuki」

2022年8月20日(土) 18:00~
上演時間:2時間45分
開 演  18:00
第一幕 1時間25分
休 憩  15分
第二幕 1時間05分
終 演 20:45

東京芸術劇場プレイハウス
作・演出:野田秀樹
音楽:Queen

出演
<CAST>
それからの愁里愛(じゅりえ) :松たか子
それからの瑯壬生(ろうみお) :上川隆也
源の愁里愛/愁里愛の面影:広瀬すず
平の瑯壬生/瑯壬生の面影:志尊淳
源義仲/法王/源頼朝/平の虚仮威(こけおどし):橋本さとし
平の水銀(みずかね)/平の白金(しろがね):小松和重
六波羅禿の巴(ろくはらかむろのともえ)/巴御前/尼トモエゴゼ:伊勢佳世
源の生母/平の溺愛母(ロミママ)/尼マザーッテルサ:羽野晶紀
平清盛/平の凡太郎:竹中直人
源の乳母:野田秀樹

秋山遊楽 石川詩織 織田圭祐 上村聡
川原田樹 近藤彩香 末冨真由 谷村実紀
間瀬奈都美 松本誠 的場祐太 水口早香
森田真和 柳生拓哉 吉田朋弘 六川裕史

<STAFF>
美術:堀尾幸男
照明:服部基
衣裳:ひびのこづえ
美粧:柘植伊佐夫
サウンドデザイン:原摩利彦
音響:藤本純子
振付:井手茂太
映像:奥秀太郎
舞台監督:瀬﨑将孝
プロダクション・マネージャー:徳永泰子
プロデューサー:鈴木弘之
企画・製作:NODA・MAP

座席は S席1階B列 最前列 ど真ん中 (12,000円)

この公演も公演関係者数名に新型コロナウイルス陽性反応が確認されたということで、一部公演が中止になりました。
公演の開幕が延期になり、初日が7月29日(金) 18時開演⇒ 8月2日(火)18時開演になりました。
<中止になった公演>
7月29日(金) 18時開演
7月30日(土) 13時開演
7月30日(土) 18時開演
7月31日(日) 13時開演

もう、コロナコロナで演劇界も大変です。
チケットを取っていた人たちの悔しさ、やり切れなさを思うと他人ごとではありません。
それでも劇場の灯は消えない!
コロナとのいたちごっこはしばらく続くかもしれませんが、必ず人は勝利すると信じています。

「『Q』:A Night At The Kabuki」は三年ぶりの再演です。
そして主要キャストは全て三年前と同じという奇跡のような舞台です。

chirosukeは三年前の初演、この舞台を2回観ています。
(「Q」の初演については2019年10月13日2019年12月3日のブログをみてね)

今回の舞台のchirosukeにとっての奇跡は「座席」であります。
なんとなんと、最前列 ど真ん中でした!

チケットは狙ってたわけでなく、通常のNODA・MAPの登録会員先行抽選でした。
早い者勝ちではなく、期間内にエントリーして抽選、チケットを確保できた場合は座席は選べないといういつものシステムです。
平日は仕事があるので土日祝が第一希望でした。
ただ、昼公演は人気があるので競争率が高いと思って土曜の夜公演を第一希望にしました。

座席はチケット発券時まで解りません。
chirosukeはチケットを観てびっくり!
B列!
Sちゃんに「すごいよ、前から2列目!」と報告した時、声が弾んでたと思います。
そして劇場に来て座席表を観たchirosukeは信じられませんでした。
A列が無い!
最前列がB列でした・・・!
Sちゃんに「・・すごいよ! 席、 最前列 ど真ん中だ・・・」と報告した時、声が上ずっていたと思います。

最前列は、舞台全体を俯瞰して観ることはできないので、良い席かというと何とも言えない部分はあります。
でも役者さんの表情が間近で観られることと、演技している役者さんと目が合うこともあり緊張感は半端ないです。
chirosukeにとって「最前列のど真ん中」席はめちゃくちゃ嬉しい!

「Q」、chirosukeの感想は・・・
とても感動しました!
「ロミオとジュリエット」をベースにした「禁断の恋」が描かれています。
野田さんお得意の時空越で、源平合戦のなかで敵同士の家の若い二人は出会い、恋に落ち5日間の奇跡の時間を過ごします。

源の愁里愛/愁里愛の面影を演じた広​瀬​す​ず​さ​ん​、すごく良かったです。
溌剌とした若さに溢れ、無垢で純粋な​愁里愛を演じる姿は愛らしく健気で力強い。
照明がすずちゃんだけ違うのかと思うくらい、輝いて見えました。

​巴​御​前​役​の​伊​勢​佳​世​さ​ん、凄い!
最前列であの演技、表情をみると怖いくらいでした。

再演にあたり後半部分の演出が変わっていました。
凍てついた滑野の曠野、そこに倒れた数多の人たちすべてに「名前」があることをchirosukeは思い、泣きました。
降り積もる雪の演出は、容赦なく厳しく、過酷で、悲しく、冴え冴えと寒さが凍みてくるようでした。

野田さんが書いたコトバは深くて美しく、残酷でとても切ない愛の物語でした。
​Q​u​e​e​n​の​「​L​o​v​e​ ​o​f​ ​M​y​ ​L​i​f​e​​」​が流れるなか、chirosukeはボロ泣きでありました。
悲劇としか言いようの無い運命のなかで、あの奇跡のような5日間の恋は確かに「救い」でした。
カーテンコールでは、泣きながら立ち上がって拍手をしたchirosukeでありました。

お約束のパンフレットを身請けしました。

・パンフレット 1,500円(税込)

「七里ガ浜の尼寺で。
それからの愁里愛。
真っ白い手紙を見ている。
遠くに、紙飛行機がひとつ飛んでいる。
波音。
「​L​o​v​e​ ​Of​ ​M​y​ ​L​i​f​e​​」が鳴り響く。(完)」

舞台は作り手と観客がひとつになって初めて成功する、つかの間の夢です。
素晴らしい舞台を最前列で観ることができた、至福の時間をありがとうでした。

この公演は9月11日まで東京芸術劇場で上演され、その後大阪公演があります。
・大阪公演 2022年10月7日(金)-10月16日(日) 新歌舞伎座
その後、ロンドン、台北でも上演されます。

舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」


chirosukeは舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」を観てまいりました。

「ハリー・ポッターと呪いの子」
2022年7月30日(土) 12:15~
TBS赤坂ACTシアター 
上演時間:約3時間40分
1幕 1時間40分
休憩 20分
2幕 1時間40分
座席 S席 1FQ列 上手ブロック
15,000円

https://www.harrypotter-stage.jp/

「スタッフ」
オリジナルストーリー:J.K.ローリング
脚本・オリジナルストーリー:ジャック・ソーン/ジョン・ティファニー
振付・ステージング:スティーヴン・ホゲット
美術:クリスティーン・ジョーンズ
衣裳:カトリーナ・リンゼイ
音楽&編曲:イモージェン・ヒープ
照明:ニール・オースティン
音響:ギャレス・フライ
イリュージョン&マジック:ジェイミー・ハリソン
音楽監督&編曲:マーティン・ロウ
演出補(インターナショナル):デス・ケネディ
演出補:コナー・ウィルソン
振付補(インターナショナル):ヌーノ・シルヴァ
動画デザイン:フィン・ロス/アッシュ・ウッドワード
ヘア、ウィッグ、メーキャップ:キャロル・ハンコック
舞台美術責任者(インターナショナル):ブレット・J・バナキス
衣裳アソシエイト(インターナショナル):サビーン・ルメットル
音響アソシエイト(インターナショナル):ピート・マルキン
イリュージョン・魔法アソシエイト(インターナショナル):クリス・フィッシャー
テクニカル・ディレクター(インターナショナル):ガリー・ビーストン
プロダクション責任者(インターナショナル):サム・ハンター
エグゼクティブ・ディレクター(インターナショナル):ダイアン・ベンジャミン
エグゼクティブ・プロデューサー(インターナショナル):パム・スキナー
製作統括(インターナショナル):ソニア・フリードマン・プロダクション(SFC)
マーケティング(グローバル):HPCCグループリミテッド
プロデューサー:ソニア・フリードマン/コリン・カレンダー/ハリー・ポッター・シアトリカル・プロダクション
翻訳:小田島恒志/小田島則子
演出補/河合範子
レジデント演出補/坪井彰宏
ムーブメント・ディレクター補/友谷真実
イリュージョン&マジック補:水嶋ユウ/はやふみ
音響補:井上正弘
照明補:渡邉雄太
衣裳補:阿部朱美
ヘアメイク:柴崎尚子
技術監督:清水重光
プロダクション・マネージャー:金井勇一郎

「キャスト」
ハリー・ポッター: 藤原竜也
ハーマイオニー・グレンジャー: 早霧せいな
ロン・ウィーズリー:竪山隼太
ドラコ・マルフォイ: 宮尾俊太郎
ジニー・ポッター:馬渕英里何
アルバス・ポッター福山康平
スコーピウス・マルフォイ:門田宗大
嘆きのマートル:美山加恋
ローズ・グレンジャー・ウィーズリー:橋本菜摘
デルフィー:岩田華怜
組分け帽子:木場允視
エイモス・ディゴリー:福井貴一
マクゴナガル校長:榊原郁恵

「ハリー・ポッターと呪いの子」、chirosukeの感想は・・・
とても楽しめました。
そしてこれは「ハリー・ポッター」シリーズの2.5次元舞台だなと思いました。

舞台でしか表現できない演出が素晴らしくて、まさに「魔法」に溢れていました。
劇場全体が、いえ赤坂駅の出口から劇場に続く通路から既に演出は始まっていました。

公演関係者に新型コロナウイルス陽性が出たため以下の公演が中止となりました。
7月26日(火) 12:15 開演
7月27日(水) 18:15 開演
しかも7月26日の公演は、客入れが始まって観客は席についていたそうです。
なかなか始まらないと思っていたら、公演中止のアナウンスが流れたというではないですか。
これにはchirosuke、びびりました。
これはないわね・・・。

7月28日(木)昼の部から上演が再開されて、chirosukeは観ることができましたが着席しても「幕が開くまで油断できないぞ」とドキドキしていましたもの。

マクゴナガル校長役の榊原郁恵ちゃんの声でアナウンスが流れたのに笑いました。
「・・・マグルの、そのいまいましい携帯電話の電源は今すぐ切っておしまいなさい。今すぐですよ!」
良い感じ~!

舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」は2016年7月30日、ロンドンでワールド・プレミアが初演でした。
これまでにロンドン、ニューヨーク、サンフランシスコ、オーストラリア・メルボルン、ドイツ・ハンブルク、カナダ・トロントの6都市で開幕して、東京公演はアジアとしては初、世界では7番目の上演となったそうです。

ハリー、ロン、ハーマイオニーが魔法界を救ってから19年後の世界が描かれています。

魔法省で働くハリー・ポッターはいまや三人の子の父親です。
今年ホグワーツ魔法学校に入学する次男のアルバスに対してハリーは、父親としてうまく接することができずにいます。
アルバスは、英雄の家に生まれた自分の運命に悩み、父との関係だけでなく自己肯定も上手くできない少年です。
結果父親に反抗するのですが、中途半端な行動になっちゃうのでした。
そこにかつての暗闇の世を思わせるように、魔法界、人間(マグル)界を巻き込んだ不穏な事件が相次ぎ、人々を不安にさせている背景があります。

物語は、「タイムターナー」という時間を操ることができる魔法のアイテムで、過去・現在・末来が大変なことになります。
出来事の中心にいて、状況をどんどん複雑にするのが、ハリー・ポッターの息子アルバス・ポッターと、ドラコ・マルフォイの息子スコーピウス・マルフォイのコンビなのですね。
良かれと思って実行したことが裏目にでてしまい、やり直せばやり直すほど事態は良くない方へ滑りだす・・・お約束でありますね。

過去と未来を行き来して子供達と大人達が力を合わせて、再び世界を救うことができるのかという冒険活劇と、親子の絆を取り戻せるかという家族の物語をテーマとしてお話しが進みます。

この物語の戯曲をchirosukeは数年前に読んでいます。

J.K.ローリングの書き下ろした新しいストーリーをもとに、ジャック・ソーン、ジョン・ティファニーが舞台監督を務める舞台劇を書籍化したものです。
静山社から出版されたシリーズ最新刊「ハリー・ポッターと呪いの子 第一部・第二部」です。
(単行本 「ハリー・ポッターと呪いの子」については、2016年11月11日のブログをみてね)

大筋ではお話しの流れを知っていたchirosukeですが、とても楽しい舞台でした。

過去を変えることができるのか、という深いテーマも孕みつつ、運命は思わぬ方向に動き出します。
スリリングで、容赦なく、そして笑いも随所にあって、しっかりした「エンタメ」になっていました。

現実を受け入れる勇気は、老人には辛いことでありましょう。
エイモス・ディゴリーの哀しみにはchirosuke涙目です。
そして、そんな人の心の弱みに付け込んで利用しようとする奴らは本当の「悪」ですね。

chirosukeはこの舞台を「ハリー・ポッター」シリーズの2.5次元舞台だと言いましたが、原作や映画、元ネタをある程度しておかないと楽しめないかもです。

もちろん、コアなハリポタのファンでなくても舞台の「魔法」は素晴らしいし、演出、照明、衣装、役者の演技もすごく良いです。
ただ、人物の相関関係、過去の出来事、魔法界の基本用語を把握していないと、ちょっと良くわからないのではないかしら?
過去の伏線回収がなされて「おおっ!そこか!」と両手をグーにしたり、あの事件があったからこうなるのだね、と納得したり。
なので、2.5次元だと思いました。
魔法界の過去の事件やコトバの意味などをわざとらしく説明したりすることが無かったことが潔くで良い!
ハリー・ポッターシリーズの8番目の物語であり、活字ではなく「舞台」という手法を使って描かれた新しい物語でありましょう。

キャストがトリプル、ダブルが多かったのでプログラムを身請けしました。

・公演プログラム 2000円(税込)

主役のハリー役は、藤原竜也さん、石丸幹二さん、向井理さんのトリプルキャストです。
chirosukeはどの人でも良かったのですが、観劇できる日程とチケットが取れる日で藤原さんのハリーでした。
可能なら、他のお二人でも観たいかな・・・チケットお高いけど。
藤原ハリーの終盤の「鳩」の台詞。
え?ここ笑うとこ?
chirosuke、大笑いでした。
他のハリーでも「鳩」なのかしら?

ドラコ・マルフォイ役の宮尾俊太郎さん。
ストレートプレイが初出演とのこと。
素敵でした。
chirosukeはKバレエの公演で何度か宮尾さんのダンスを観ていますが、机からストンと飛び降りるシーンの優雅なこと!
つま先からすっと降りるような身のこなしはとてもエレガントで、まるで魔法でありました。

スコーピウス・マルフォイ役の門田宗大くん。
素直な演技がとても良かったと思います。
悩んで悲しんで、命がけて友達を守ろうとするひたむきな姿にchirosukeは何度も涙目でした。
真剣でとぼけた雰囲気で重苦しい場面でも、良い感じで力が抜けるような笑いをとっていました。
緩急のある演技が素晴らしいです。

デルフィー役の岩田華怜さん。
初めて演技を観ましたが、とても良かったです。
カッコ良いデルフィーでした。

そして、嘆きのマートル役の美山加恋さん。
可愛くて、めんどくさくて、chirosukeのイメージするまんまのマートルでした。
声がとても魅力的です。

ディメンターがマジ怖い・・・。
chirosuke涙目でありますよ。

物語のタイトルにある「呪いの子」が誰なのか。
登場する子供たちはそれぞれが「親の呪縛」と「出自」に囚われているようです。
運命からは逃れない場合も、自らの判断で新たな道を切り開くこともできるかも知れない。
そんなことを思いつつ劇場を後にしたchirosukeでありました。

※7月31日追記
再び7月31日(日)昼&夜の部、8月2日(火)昼の部が中止になりました。
※8月3日追記
8月3日(水)夜の部~8月10日(水)夜の部の9公演が新たに中止。
※8月11日追記
8月11日(木) 昼、8月12日(金) 昼、8月13日(土)の公演が中止。

chirosukeが見られたのは奇跡でありますね・・・。

舞台「パンドラの鐘」


chirosukeはシアターコクーンに「パンドラの鐘」を観に行ってまいりました。

COCOON PRODUCTION 2022
NINAGAWA MEMORIAL
「パンドラの鐘」
2022年6月25日(土) 13:30~
上演時間:約2時間20分(休憩なし)
シアターコクーン
座席 S席 O列 下手ブロック
11,000円

作:野田秀樹 
演出:杉原邦生
美術:金井勇一郎
音楽:☆Taku Takahashi[m-flo]
照明:髙田政義[RYU]
音響:稲住祐平[エス・シー・アライアンス]
衣裳:Antos Rafal[ANTOSTOKIO]
ヘアメイク:国府田圭
振付:仁科幸、北川結[モモンガ・コンプレックス]
所作指導:藤間貴雅
ドラマトゥルク:稲垣貴俊
演出助手:矢本翼子
舞台監督:足立充章

出演:
ミズヲ:成田 凌
ヒメ女:葵 わかな
ハンニバル:玉置玲央
オズ:大鶴佐助
タマキ:前田敦子
イマイチ:柄本時生
カナクギ教授:片岡亀蔵
ピンカートン未亡人:南 果歩
ヒイバア:白石加代子
森田真和/亀島一徳/山口航太
武居 卓/内海正考/王下貴司
久保田 舞/倉元奎哉/米田沙織/涌田 悠

「パンドラの鐘」、chirosukeの感想は・・・
観て良かった舞台でした。

「パンドラの鐘」は、1999年にNODA・MAPで野田秀樹さん演出で初演でした。
シアターコクーンでの蜷川幸雄演出版がほぼ同時上演され、二人の演出対決が話題となりましたが、chirosukeは残念ながらどちらも観ていません。
遺跡の発掘・古代の王の殉死・長崎への原爆投下などがモチーフになっている作品ということだけ知っていました。

昨年、2021年4月に東京芸術劇場で「パンドラの鐘」は上演されました。
chirosukeは5月1日のチケットを取っていたのですが、新型コロナウイルス感染拡大による三度目の「緊急事態宣言」発出を受けて、公演中止になりました。
チケットがなかなかとれず、東京公演の追加公演をやっと取れたのに・・・涙目でありました。
その時の演出は熊林弘高さん。
ヒメ女役は門脇麦さんでした。
(公演中止に関しては、2021年4月25日のブログをみてね)

今回ようやく「パンドラの鐘」を観ることが出来ました。
ミズヲを演じた成田凌さん、chirosukeは初めて観ましたがすごく良かったです。
逞しく、いつもぶれずに筋が通った言動のミズヲは魅力的でした。
何故ぶれないか、生きるために葬式屋になり、人の埋葬にこだわるミズヲ。
使命感のような仕事への向き合い方。
物語の終盤にその理由と、ミズヲの名の由来が明かされた時・・・chirosukeは泣きました。

ヒメ女を演じた、葵わかなさん。
純真で愛らしく、女王になる意味すら考えていなかった幼稚なヒメ女・・・と思っていたら、どんどんしっかりものの「女王」に変化していくではないですか!
ミズヲがヒメ女を変えた部分もあったでしょう。
ラストのあの行動はヒメ女自らが考え抜いた決断でありますね。
chirosukeは両手をグーにしてボロ泣きでした。

ヒイバアを演じた白石加代子さん・・・怖いですぅ。
「私は王家に仕えてきました」の台詞はこわい。
ヒメ女を愛しく思っていながら、王家存続の為にはためらうことなく差し出すのですね。
ヒイバアにとってヒメ女はかわいいお姫様ではなく、「王家の女王」なんだな。
カーテンコールの時、小走りだった白石さん。
chirosukeは走らなくていいから~! と涙目でしたが、現役の役者さん。
グータラなchirosukeなんかとは鍛え方が違うんだと実感。
声色ひとつで心に刺さるような演技、素晴らしいです。

忠誠心まっしぐらのにハンニバルを演じた玉置玲央さん。
良い感じです。
ハンニバルの忠誠心はどこに(誰に)向かっていたのかなぁ。

葬式屋のメンバーの中で、ひときわ目を引く役者さんがいました。
動きがキビキビしていて、表情豊かで上手いんです。
chirosuke、この役者さんどこかで観たような・・・。
あ! 赤鬼を演じた人だよ!
(赤鬼については2020年8月16日のブログをみてね)
森田真和さん、個性的な演技がとても良かったと思います。

ラストのミズヲの台詞。
「賭けをしましょう。あなたの服に触れず、その乳房に触れた日のように、いつか未来が、 この鐘に触れずに、あなたの魂に触れることができるかどうか。滅びる前の日に、この地を救った古代の心が、ふわふわと立ちのぼる煙のように、いつの日か遠い日にむけて、届いていくのか。
ヒメ女、古代の心は、どちらに賭けます? 俺は、届くに賭けますよ。」
そしてあの驚くべき演出! (chirosukeはもしかして?と思っていましたが、やはりでした)

あの演出が賭けの結果でありましょう。
chirosukeはただ涙が流れました。
世界中のいたるところで起きている終わらない争い。
そしてウクライナのこと。

23年前に書かれた野田さんのコトバが今現在においても心に刺さります。
ミズヲを通して発せられた台詞はとてもまっすぐでした。

ヒメ女が遠い未来に向けた心は劇場を通り抜けて、さらに末来に届くのかな。
届いてほしい。
届けなければ・・・とchirosukeは思います。

素晴らしい舞台をありがとうでした!

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ほうろうって・・・

優しく扱ってあげないと、欠ける、はがれる。
お鍋の取っ手は熱くなる・・・。
お高い・・・。
でも綺麗なんだものっ!!