NODA・MAP第24回公演「フェイクスピア」


chirosukeは、NODA・MAP第24回公演 「フェイクスピア」を観に行ってまいりました。

https://www.nodamap.com/fakespeare/

NODA・MAP第24回公演「フェイクスピア」

2021年7月10日(土) 13:00~
上演時間:2時間5分(途中休憩なし)
開 演  13:00
終 演  15:05

東京芸術劇場プレイハウス
作・演出:野田秀樹

座席は S席2階A列 上手ブロック (12,000円)

【公演情報】
東京公演:東京芸術劇場プレイハウス 2021年5月24日(月)~7月11日(日)
大阪公演:新歌舞伎座 2021年7月15日(木)~7月25日(日)

【キャスト】
mono:高橋一生
アブラハム:川平慈英
三日坊主:伊原剛志
星の王子様/伝説のイタコ/白い烏:前田敦子
オタコ姐さん/烏女王:村岡希美
皆来アタイ:白石加代子
シェイクスピア/フェイクスピア:野田秀樹
楽(たの):橋爪功

【STAFF】
美術: 堀尾幸男
照明: 服部基
衣裳: ひびのこづえ
音楽・効果: 原摩利彦
音響: 藤本純子
振付: 井手茂太
ヘアメイク: 赤松絵利
舞台監督: 瀬﨑将孝
プロデューサー: 鈴木弘之
企画・製作: NODA・MAP

野田さん、一年半ぶりの最新作です。
「フェイクスピア」、chirosukeの感想は・・・
凄い舞台でした。

日本三大霊場のひとつである青森・恐山を舞台に、「口寄せ」を依頼する人たちとイタコとの、「コトバ」にまつわる物語が展開します。
今回はこの「コトバ」がテーマでした。

初めて舞台で観た高橋一生さん、素晴らしい演技に感動です。
静と動の動きがぴしっとしていて、台詞も明瞭。
立ち姿も映えます。
chirosuke、高橋さんは好きな俳優さんのひとりでしたが大好きになりました。

スローモーションの動きが安定感があってすごくきれい。
鍛えているんだなぁ。
台詞でセルフエコー?のところ、巧すぎで笑っちゃいました。

前半、シェイクスピアの四大悲劇(ハムレット・オセロー・リア王・マクベス)のヒロインに扮するところも女性にしか見えない。
声ががらりと変わります。
高い声じゃないのよ、でも明らかに女性の声で仕草も倒れっぷりもホント女性なの。

そして、chirosukeは結構早い段階で気付いてしまったのですが、見えてきたのはあの大事故でした。
野田さんの放つ、軽やかなコトバ遊びの先の、永遠プラス36年・・・あ!
痛ましすぎる・・・。

monoが神様から盗んだ「匣(はこ)」のなかに残っていた声は、野田さんが考えたコトバでは無いです。
誰がつくったコトバでも無い。
そのコトバは・・・容赦なく現実を思い知らされる。

物語の終盤、極度の緊張感の中で交わされるコトバの群れは、現実のものでした。
chirosukeは息を止めてしまうくらい両手をグーで、舞台を凝視していました。
フィクションとノンフィクションの境界が解らなくなる。
過去の現実が、物語を超えてくる感覚です。

この場面では、役者の身体を通って発せられるのは台詞ではないと思いました。
それは「声」でした。
最後の最後まで「生に向かい」「空を目指した」声でした。
人が作り出したどんな美しいコトバより、その声は心を打つ。

カミサマから火を盗んだプロメテウス。
彼は江戸っ子でした。
江戸っ子訛りでは「ヒ」は「シ」になります・・・。

サン・テグジュペリが残した「星の王子様」の「大切なものは目に見えない。」というコトバ通りです。
残るのは声だけ。

chirosukeは昔、夢の遊眠社公演で観た「彗星の使者(すいせいのジークフリート)」を思い出しながら前半を観ていました。
「今年の夏は特別だ!」と少年の夏休みが描かれていた作品。
「五時間目は何度でもやり直せる、図画工作の時間」でした・・・。
でも、「フェイクスピア」では「やりなおすことのできない現実に起こった出来事」が現れてきました。

辛く、痛ましい出来事は事実として変わらない。
でも、匣の中の「声」に息子が36年経って絞りだすように応えた「コトバ」にchirosukeは涙し、救いだと思いました。

chirosukeは後半からずっとボロ泣きでした。
2階席の最前列でしたが、客席のあちこちからもすすり泣きが聴こえました。

フィクションをノンフィクションに取り込んだ野田さんの演出は素晴らしい。
「シャツ!」と流れるカーテンでの場面転換もすごい。
高橋一生さん、素晴らしい演技でした。
白石加代子さんと橋爪功さん、お二人の芝居は凄すぎます。
1941年生まれ御年80歳になられるとか・・・嘘でしょう!

chirosukeは劇場ロビーでパンフレットを身請けしました。

野田さんと内村光良さんとの対談は面白いです。
もうひとつの対談、野田さんと南直哉さんとのものは、深い!
そして稽古場見学記は元演劇少女だったchirosukeにとって、ワクワクする写真と文章であります。

戯曲「フェイクスピア」が掲載されている「新潮7月号」は数週間前に地元の書店で身請けしていましたが、新作をネタバレ無しで観たかったので読むのを我慢していました。
それ故、舞台でかなり衝撃を受けてしまいました・・・。

・パンフレット  1,300円

・新潮7月号  1,200円

野田さんの新作「フェイクスピア」は、本当に凄い舞台でした。
カーテンコールは数回。
拍手が鳴りやまず、多くの観客がスタンディングオベーションでした。
chirosukeも立ちたかったけど、2階席の最前列だったのでちょっとコワイ。
ボロ泣きしながら精一杯拍手をしていました。

コロナ禍の中で野田さんが見せてくれたのは、「演劇」と「言葉」に対する覚悟だったのかも知れません。
劇場の灯は消してはならないし、消えません!
chirosukeにとって「劇場」は決して不要不急じゃないのです。
素晴らしい舞台をありがとうでした!
ご一緒してくれたSちゃん、シェイクスピアを全然読んでいなくても大丈夫だったでしょ?

そして、この公演に出演を予定していながら、体調不良のため降板された大倉孝二さん。
回復され、徐々にお仕事復帰されているようで安心しました。
また劇場でお会いしたいと思います。

ほうろうって・・・

優しく扱ってあげないと、欠ける、はがれる。
お鍋の取っ手は熱くなる・・・。
お高い・・・。
でも綺麗なんだものっ!!