舞台 「ワーニャ伯父さん」 シス・カンパニー


chirosukefは新国立劇場 小劇場に「ワーニャ伯父さん」を観に行ってまいりました。

「ワーニャ伯父さん」
2017年9月3日(日)
13時30分~
新国立劇場 小劇場

上演時間 : 約2時間30分
第1幕 13:30〜14:36 (66分)
休 憩 15分
第2幕 14:51〜15:57 (66分)

座席はS席 1階C4列下手ブロック通路側
(8,500円)
座席はC列ですが前から10列目でした。

作:アントン・チェーホフ
上演台本・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:
ワーニャ伯父さん:段田安則
エレーナ: 宮沢りえ
ソーニャ:黒木華
セレブリャーコフ: 山崎一
アーストロフ:横田栄司
マリーナ:水野あや
下男:遠山俊也
ヴォイニーツカヤ夫人:立石涼子
テレーギン:小野武彦
[ギター演奏]伏見蛍

美術:伊藤雅子
照明:関口裕二
衣装デザイン:伊藤佐智子
音響:水越佳一
ヘアメイク:宮内宏明
演出助手:坂本聖子
舞台監督:瀬﨑将孝
プロデューサー:北村明子

ケラリーノ・サンドロヴィッチさん演出によるチェーホフの四大戯曲上演第三弾です。
chirosukeは第一弾の「かもめ」、第二弾の「三人姉妹」を観ています。
( 「かもめ」 については2013年9月16日、「三人姉妹」については2015年2月14日のブログをみてね)

演劇少女のお約束のチェーホフですが、chirosukeは「ワーニャ叔父さん」は初めてです。
戯曲も読んでいなければ粗筋も知りませんでした。

chirosukeの感想は・・・
決して解りにくい物語ではないのですが、登場人物の相関関係が理解できたのが1幕目の終わりでした。

ドラマチックな展開はありませんが、現実と理想のギャップに悩み淡々と日々を送る人たちの感情が丁寧に細かく描かれていました。
役者さんは皆巧いです。
ささやかな和解や叶わない恋心、信頼していた人への不信感、絶望、怒り、などがとてもデリケートに表現されているなぁと感じました。
その中でも主人公のワーニャを演じた段田安則さんが素晴らしいです。
後半のワーニャの怒りと絶望にchirosukeはちょっと涙目になりました。

登場人物の心情を丁寧に描き、繊細な感情の動きが演じられます。
人々が現実に向き合ってやり切れない日常を淡々と生きて行く様は、諦めというよりは「耐え忍ぶ」という感じです。
チェーホフのお約束なんだなぁ。

エレーナを演じた宮沢りえちゃんは艶やかでとても美しいです。
派手な見た目よりずっと分別があるのですが、やはり感情を押さえようと自分自身と闘っています。
時折滑稽にさえ見える仕草が笑いを誘っていました。
りえちゃん、かわいいです。

セレブリャーコフを演じた山崎一さん。
決して悪人ではないのだけど、エリート意識に溢れ自信たっぷりで自分勝手、我儘な子供のような性格の年老いた大学教授を見事に表現されていました。
ほんとうに嫌な奴です。
自分ではそのことに気付いていないだけに始末が悪いです。
終盤にキレたワーニャに撃たれればよかったのに、とchirosukeはちょっと心が黒くなりました。

ソーニャ役の黒木華さん、巧いなぁ。
映像では観たことがありますが、生の舞台で観るのは初めてです。
劇のラストで辛い気持ちを吐露するワーニャに優しく語りかけるソーニャの台詞にchirosukeは涙がでました。

「仕方ないわ。生きていかなくちゃ。長い長い昼と夜をどこまでも生きていきましょう。
そしていつかその時が来たら、おとなしく死んでいきましょう。
あちらの世界に行ったら、苦しかったこと、泣いたこと、つらかったことを神様に申し上げましょう。
そうしたら神様はわたしたちを憐れんで下さって、その時こそ明るく、美しい暮らしができるんだわ。
そしてわたしたち、ほっと一息つけるのよ。わたし、信じてるの。
おじさん、泣いてるのね。でももう少しよ。わたしたち一息つけるんだわ…」

絶望⇒忍耐⇒希望とも取れますが、救いが無い・・・チェーホフだなぁ。
ワーニャの絶望と諦め、それでも淡々と日々を生きて行こうとする姿はとても切なくて、やっぱりこの舞台で一番素晴らしかったのは段田さんでありました。

シリーズ完結は「桜の園」です。
キャスト、上演時期等未定ですが、ラネーフスカヤ夫人、ロパーヒンは誰が演じるのでしょうか?
chirosukeはとても楽しみであります。

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八月納涼歌舞伎 「野田版 桜の森の満開の下」 (3回目千穐楽)


chirosukeは歌舞伎座に、八月納涼歌舞伎 第三部、「野田版 桜の森の満開の下(さくらのもりのまんかいのした)」、千穐楽を観てまいりました。

3回目の観劇であります。
とっくに完売だった千穐楽のチケットでしたが、なんとキャンセルが出ていたのに気づき1等席をゲットしました。
チケット代に涙目でしたが、千穐楽を観られてとても嬉しいchirosukeであります。

(「野田版 桜の森の満開の下」1回目・2回目の観劇については、8月11日8月19日のブログをみてね)

「野田版 桜の森の満開の下(さくらのもりのまんかいのした)」
坂口安吾作品集より

http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/534

2017年8月27日(日) 18:30~21:00
上演時間:2時間30分
第一幕 18:30~19:45 75分
休憩 20分
第二幕 20:05~21:00 55分
歌舞伎座
座席は 1等席 1階16列 上手ブロック 上手寄り (15,000円)

耳男    中村勘九郎
オオアマ  市川染五郎
夜長姫   中村七之助
早寝姫   中村梅枝
ハンニャ  坂東巳之助
ビッコの女 中村児太郎
アナマロ  坂東新悟
山賊    中村虎之介
山賊    市川弘太郎
エナコ   中村芝のぶ
マネマロ  中村梅花
青名人   中村吉之丞
マナコ   市川猿弥
名人    片岡亀蔵
エンマ   坂東彌十郎
ヒダの王  中村扇雀

美術 堀尾幸男   照明 服部基   衣裳 ひびのこづえ
美粧 柘植伊佐夫  作調 田中傳左衛門   附師 杵屋巳太郎
効果 原摩利彦  音響 zAk  振付 井手茂太  立師 渥美博

「野田版 桜の森の満開の下」千穐楽の感想は・・・
千穐楽ならではの開放感がとても楽しめました。

耳男が軽口をたたいたマナコを追いかけるシーン。
今日の勘九郎さんは容赦ないです。
全力疾走で舞台上を逃げる猿弥さんをず~っと追い回します。
もう許してあげて・・・と思うくらい執拗に追いかけ、必死で投げまわる猿弥さんに客席は大爆笑でした。

20分の幕間にトイレに並んでいたchirosukeに、年配のご婦人お二人の会話が聴こえてきました。
「すごい台詞の量とスピードだわねぇ」
「そうねぇ。夢の遊眠社の時は今の3倍くらいのスピードで喋っていたそうよ」
「まぁっ、3倍!それは凄いわね」
chirosukeは心の中で思いました。
『3倍ってのは言い過ぎです。せいぜい2倍です。』
台詞と動き、場面転換全てが野田ワールドの疾走感に溢れていて、従来の歌舞伎よりずっとハイスピードなんだろうなぁ。

後半の夜長姫がオニを見つける度にヒトがどんどん死んでいく場面。
その様にうっとりしているような夜長姫に耳男が「姫さまっ!」と呼びかけると夜長姫が「何でしょう?」と返事をするのですが、この「何でしょう?」を七之助さんは叫んでいました。
chirosukeはこの「何でしょう?!」にトリハダが立ちました。
凄い・・・夜長姫怖い・・・!

「さよならのあいさつをして、それから殺してくださるものよ」
「好きなものは、呪うか殺すか争うかしなければならないのよ」
「ねえ、もしもまた新しく、なにかをつくろうと思うのなら、いつも落ちてきそうな広くて青い空をつるして、いま私を殺したように、耳男、立派な仕事をしてくださいね」
七之助さんの夜長姫は最高でした。

プッチーニの歌劇「ジャンニ・スキッキ」からの「私のお父さん」が流れる中、chirosukeはボロ泣きでした。
素晴らしい舞台は何度観ても良いっ!

舞台が終わると拍手が鳴り止まずカーテンコールになりました。
舞台の上から役者さん達が手招きをしています。
すると客席から野田秀樹さんが現れ、花道から舞台へ走りました~。
客席は大盛上がりで拍手!拍手!です。
2回目のカーテンコールで客席が立ち始めていました。
chirosukeも立ち上がって思い切り拍手であります。
3回目は客席全てがスタンディングオベーションでした。
歌舞伎座ではまず見られない光景だと思います。

chirosukeは涙目で、千穐楽に来られて良かったと心から思いました。
「いやぁ、まいった。まいったなぁ」

八月納涼歌舞伎 「野田版 桜の森の満開の下」 (2回目)


chirosukeは歌舞伎座に、八月納涼歌舞伎 第三部、「野田版 桜の森の満開の下(さくらのもりのまんかいのした)」、2回目を観てまいりました。

(「野田版 桜の森の満開の下」1回目の観劇については、8月11日のブログをみてね)

「野田版 桜の森の満開の下(さくらのもりのまんかいのした)」
坂口安吾作品集より

http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/534

2017年8月19日(土) 18:30~21:00
上演時間:2時間30分
第一幕 18:30~19:45 75分
休憩 20分
第二幕 20:05~21:00 55分
歌舞伎座
座席は 1等席 1階10列 中央ブロック上手寄り (15,000円)

耳男    中村勘九郎
オオアマ 市川染五郎
夜長姫   中村七之助
早寝姫   中村梅枝
ハンニャ  坂東巳之助
ビッコの女 中村児太郎
アナマロ  坂東新悟
山賊    中村虎之介
山賊    市川弘太郎
エナコ   中村芝のぶ
マネマロ  中村梅花
青名人   中村吉之丞
マナコ   市川猿弥
名人    片岡亀蔵
エンマ   坂東彌十郎
ヒダの王  中村扇雀

美術 堀尾幸男   照明 服部基   衣裳 ひびのこづえ
美粧 柘植伊佐夫  作調 田中傳左衛門   附師 杵屋巳太郎
効果 原摩利彦  音響 zAk  振付 井手茂太  立師 渥美博

chirosukeの感想は・・・
何度観ても大好きな舞台でした。
前回観た時、台詞のスピードが速くて聞き取り難かった場面がずっと少なくなっているように思いました。
特に耳男役の勘九郎さんの台詞が明瞭に聞こえました。

マナコを演じた猿弥さん、前回は流していた「ヤクルト」がしっかり発声されてていい感じ~。
ハンニャ役の巳之助さんの「ポケモンカ~ド?」も笑いました。
絶対楽しんでやってるよなぁ。
そんな台詞の細かいこともですが、役者さん達の早口の台詞が明瞭になっていました。

chirosukeが28年前に京都南座で観た「贋作 桜の森の満開の下」の舞台は素晴らしいものでした。
そして今回の歌舞伎「野田版 桜の森の満開の下」もまた素晴らしい舞台でした。
1回目の観劇でchirosukeは「歌舞伎というより、野田さんの芝居を歌舞伎役者さんが演じているという感じです。」と感想を書きました。
2回目も同じことを思いましたが、こんなに自由な舞台が「歌舞伎」として歌舞伎座で歌舞伎俳優さんによって演じられることは素晴らしいのではないかと思います。

古典歌舞伎には無い時事ネタやギャグ、自由奔放さは「これは歌舞伎ですか?」と聞かれると「いえ歌舞伎座のNODA・MAPでしょう」と答えてしまうのかも知れません。
でも歌舞伎は昔からその時代の出来事や、観客が好むものを取り入れて続いてきたのではないのかなぁ。
古典歌舞伎を今観てもchirosukeの心の琴線に触れ感動してしまうことがあるように、歌舞伎の伝統に新しい自由な波があっても良いと思います。
新しい歌舞伎ができて、何度も上演され、いつか古典になっていけばいいなぁ。
野田さんの作品「野獣降臨 (のけものきたりて)」の中の台詞「いつもに、いつもが重なって伝説になるんだ」を思い出します。

今回も20分の幕間に、Sちゃんと二人で大急ぎでお弁当を食しました。
天むす弁当、おいしかったです。

「スーパー歌舞伎Ⅱワンピース」の時も思いましたが、歌舞伎役者さんの達者で広い芸域に感動してしまったchirosukeです。
七之助さんの「夜長姫」は愛らしく美しく恐ろしくて果てのない存在感でした。
終盤、あんな角度でこれほど優雅に、ゆっくり身体を曲げていけるものなのか・・・。
桜吹雪は卑怯だなと思うくらい美しいです。
流れるオペラの曲と、満開の桜の森に消えた夜長姫の残像にchirosukeはボロ泣きしてしまいました。
舞台でしか表現し得ない、素晴らしい世界でした。

以前chirosukeは「舞台は作り手と観客がひとつになって初めて成功する、束の間の夢」だと書きました。
歌舞伎座でカーテンコールってあんまり無いと思いますが、「野田版 桜の森の満開の下」 は前回も今回もカーテンコールがありました。
美しい束の間の夢をありがとうでした!

「歌舞伎座ギャラリー」 体験空間 歌舞伎にタッチ!


chirosukeは歌舞伎座に行った時、開演まで少し時間があったので歌舞伎座ギャラリーに行ってまいりました。

http://www.shochiku.co.jp/play/kabukiza/gallery/

開館時間:10:00~17:30(最終入館は17:00まで)
入場料:600円

歌舞伎座には何度か来ていますが、歌舞伎座ギャラリーはスルーしておりました。
2013年歌舞伎座新開場と同時にオープンし、歌舞伎を見たことのない人でも気軽に歌舞伎に触れ、親しみを感じられるスペースだそうです。
入場料は通常600円ですが歌舞伎のチケットを持っていたら500円になります。

歌舞伎座ギャラリーは、歌舞伎座タワーの5階にあります。  
地下2階の木挽町広場から、専用のエレベーターで5階まで行けます。
入場料は、歌舞伎座ギャラリー切符売場でチケットを身請けして入場します。(現金のみ)

今回の歌舞伎座ギャラリーの展示は体験型でした。
歌舞伎の舞台に登場する小道具等にじかに触ったり、動かしたり、乗ったりできます。
歌舞伎で登場する馬に乗ってみたり、「鈴ヶ森」の駕籠に乗ったり、花道で「白浪五人男」や「藤娘」のポーズをとって記念撮影もできちゃいます。

chirosukeはなかなか楽しかったです。
馬に乗って、蝶々を飛ばして、波の音を出して、駕籠にのって、舟を漕いで、にわか藤娘のフリをしてまいりました~。

馬はステップを数段上がって登っていきます。
実際に乗って見るとすごく高く感じました。
これ座っているだけでも結構不安になるのですが、実際はこれが動くわけですよね。
しかも前脚の人と後ろ脚の人がいて進むのですからこれは怖いです~。

chirosuke、馬に乗ってみたまでは良かったんですが、手綱を持たずに両手をそろえてお馬さんの背においたまま・・・。
いくら高さが不安で余裕が無かったとはいえ、何故手綱を持たない・・・手綱を!
芝居する気無しだな・・・chirosukeよ!

舟にも乗り込んで漕いできました。
漕ぐというより漕ぐフリにさえなっていません。

櫓の扱いが全くわからず、漕ぐ気全く無しのchirosukeであります。
月影先生がいたらきっと「chirosuke!櫓の持ち方がなっていませんよ!漕いだことが無いなら、漕ぐ気にさせてあげましょう!」と頭から水をザッパ~ンとかけられていたことでありましょう。
(ガラスの仮面ごっこはやめなさい・・・chirosukeよ!)

波ざるの中には小豆が入っていて、chirosukeがもって揺らすとザザザ~と波の音がします。
小豆が立てている音だと解っているのに、波の音にきこえます。
他にも「雨団扇」を両手で持って振ると本当に雨が降って来たみたい~!
「差し金」のチョウチョもひらひらと舞っています。
歌舞伎の小道具、とても面白いです。

舞台の上は見事な藤棚です。
chirosukeは藤の枝を背中に背負って、なんちゃって藤娘のフリであります。
一緒に行ったSちゃんは「舞台」に上ったことがなく初めての体験だと喜んでおりました。
そんなに高低差のある舞台では無かったけど、Sちゃん良かったね!

歌舞伎座ギャラリー、とても楽しかったです。

八月納涼歌舞伎 「野田版 桜の森の満開の下」


chirosukeはNさんと一緒に歌舞伎座で、八月納涼歌舞伎 第三部、「野田版 桜の森の満開の下(さくらのもりのまんかいのした)」を観てまいりました。

「野田版 桜の森の満開の下(さくらのもりのまんかいのした)」
坂口安吾作品集より

作・演出:野田秀樹

http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/534

2017年8月11日(金) 18:30~21:00
上演時間:2時間30分
第一幕 18:30~19:45 75分
休憩 20分
第二幕 20:05~21:00 55分
歌舞伎座
座席は 1等席 1階12列 下手寄り (15,000円)

耳男    中村勘九郎
オオアマ 市川染五郎
夜長姫   中村七之助
早寝姫   中村梅枝
ハンニャ   坂東巳之助
ビッコの女 中村児太郎
アナマロ  坂東新悟
山賊     中村虎之介
山賊     市川弘太郎
エナコ    中村芝のぶ
マネマロ  中村梅花
青名人   中村吉之丞
マナコ    市川猿弥
赤名人   片岡亀蔵
エンマ    坂東彌十郎
ヒダの王  中村扇雀

美術 堀尾幸男   照明 服部基   衣裳 ひびのこづえ
美粧 柘植伊佐夫  作調 田中傳左衛門   附師 杵屋巳太郎
効果 原摩利彦  音響 zAk  振付 井手茂太  立師 渥美博

chirosukeの感想は・・・
素晴らしい舞台でした。
幻想的で深淵な物語が、軽妙な言葉遊びを交えハイスピードな動きで展開されます。

歌舞伎というより、野田さんの芝居を歌舞伎役者さんが演じているという感じです。
chirosukeは演劇か歌舞伎かなんてどっちでも良いと思いました。
舞台でしか表現し得ない、素晴らしい束の間の世界が歌舞伎座に出現していました。

「桜の森の満開の下」は、野田秀樹さんが坂口安吾の小説「桜の森の満開の下」と「夜長姫と耳男」を下敷きに書き下ろした作品です。
劇団夢の遊眠社第37回公演「贋作 桜の森の満開の下」として1989年に上演されました。
chirosukeは同年の3月、京都公演(南座)を観ています。
遊眠社のお芝居の中でも大好きな演目です。

その後、劇団夢の遊眠社第42回公演として1992年に再演されました。
その時も同年2月の大阪公演(中座)を観ています。
新国立劇場で上演された2001年の東京公演は観ていません。

chirosukeは原作の坂口安吾の「桜の森の満開の下」と「夜長姫と耳男」も読んでいます。
耽美で残酷で美しくて、大好きな物語です。
1992年の再演(東京公演)のDVDも持っています。
とにかくchirosukeの大好きがいっぱいの舞台で、「桜の森・・・を歌舞伎で演じる」と聞いただけで「絶対良い!」と思ったし期待値MAXでした。
その期待をもっともっといい意味で裏切る素晴らしい舞台でした。

天智天皇が治める時代の架空のお話です。
壬申の乱が描かれますが、鬼は出てくるし、カニも出てきます。
御本(ゴホン)⇒謀反など野田さん独特のコトバ遊びは物語の核心に近づくとただのコトバ遊びでは無いことに気付きます。
ヒト、オニ、カニ、クニが混在して、秘密や野心、裏切りが見え隠れします。

耳男を演じる勘九郎さんは、若い頃の野田さんを観ているようでした。
ハイスピードで走り回り、早口で台詞を喋りまくりです。
台詞が少し聞き取りにくいかなと感じる箇所もありましたが、夜長姫に翻弄されながらも真剣に姫と向き合おうと苦悩する姿に感動します。

マナコを演じた猿弥さん、俗物っぷりが素晴らしいです。
「ヤクルトが入った冷蔵庫」・・・なんて最高かも。
後半の殺陣の場面を観ていると、この舞台の主役は「マナコ」では?と思うくらいでした。
「オニの息吹きが かかるところがないと、この世はダメな気がする」
chirosukeが大好きな台詞です。

ハンニャ を演じた巳之助さん。
すごいなぁ。
一番声が出ていたし台詞も明瞭。
しかもいちいち面白すぎです。
スーパー歌舞伎ワンピースで「ボン・クレー」を完璧に演じきった巳之助さんですもの。
chirosuke、隠れファンになりましたです。

オオアマ役の染五郎さん。
謀反の下ゴコロを隠し通し、目的のためには手段を選ばない卑劣さと野心を持つ「嫌な奴」感がすごく出ていて良かったです。
花道からの登場時に背中に「イルカ」を背負って普通にスタスタ歩いてくるんだもの、chirosukeはクチが開いちゃいましたよ。
あれ諸説有りの「蘇我入鹿」のことですか?
「耳男が逃げたぞ~オニが逃げたぞ~」の場面は良いですね。

そして、何といっても夜長姫の七之助さんが美しすぎで恐ろしすぎです。
夜長姫の狂気が凄まじいです。
下り坂をとこしえに下り続け、しかも背中に地獄を背負って・・・。
その狂気は上空に広がる青い空より大きいのです。

chirosukeは夢の遊眠社公演で観た毬谷友子さんの夜長姫の、「あははははははは」という無邪気で狂気に満ち満ちた笑い声が大好きだったのですが、今回七之助さんがコドモみたいに脚をぶらぶらさせて「あはははは」と笑いながら登場した時ドキッとしました。
毬谷さんのあの高い声は男性には出せないのだけど、七之助さんのハスキーでささやくような屈託のない笑い声が怖かったです。

ヒトなのかオニなのか、両方の世界に属しているような「夜長姫」はどんな「女優」が演じてもその底無しの違和感を表現するのは難しいとchirosukeは思いました。
女性が男性を演じる宝塚、逆に男性が女性を演じる歌舞伎だからこそ、その世界で演じ続けてきた毬谷さん、七之助さんの「夜長姫」は美しく恐ろしく果てが無いのかと思ったchirosukeです。
他の俳優さんの夜長姫を観ていないので何とも言えませんが・・・。

終盤の息をのむような場面の美しさにchirosukeは泣きました。
「好きなものは呪うか、殺すか、争わなくてはならないのよ・・・いつも天井に蛇を吊して、いま私を殺したように立派な仕事をしてくださいね」
坂口安吾の原作にもある言葉です。
この台詞の後に美しく崩れ落ちるように桜の花びらの中に消えて行った七之助さんの姿を、chirosukeは流れる涙をぬぐいながら観ていました。
心に焼き付くような美しさでありました。

chirosukeは、耳男にとっての夜長姫は芸術を志す者の覚悟の象徴なのではと思っています。
七之助さんのこの最後のシーンを観るだけでも、一等席15,000円の価値ありと思ってしまいました。

「筋書き」も身請けしました。

・筋書き 1,300円(税込)

「桜の森の満開の下」は故.勘三郎さんと野田さんの間で歌舞伎化しようと約束されていたそうです。
その約束は勘九郎さんと七之助さんによって果たされたのですね・・・。
chirosukeは先日観たNODA・MAPの「足跡姫」で、「桜の森の満開の下」を思い出しました。
(「足跡姫」については2017年2月18日2017年3月12日のブログを見てね)
そして、今日観た「野田版 桜の森の満開の下」は「足跡姫」の続き?と感じてしまいました。

「桜の森の満開の下」は、美しく、哀しく、こころが苦しくなるような素晴らしい舞台でした。
Nさんが東京に来る日程で上演されていたこと、本当に良かったです。
是非一緒に観たかった舞台です。
一緒に感動できてとても嬉しく思いました。

「贋作 桜の森の満開の下」の上演記録と主要キャスト表をつくってみましたので、忘れないうちにブログに載せておきたいと思います。
chirosukeは来週もう一度この舞台を観る予定であります。
素晴らしい舞台を目の前にしながら、チケット代を考えてちょっと涙目になってしまうchirosukeって、何て俗物なんだぁ・・・!

「贋作 桜の森の満開の下」上演記録
【初演】 劇団夢の遊眠社第37回公演
1989年2月11日ー2月28日 東京公演/日本青年館
1989年3月3日ー3月8日 京都公演/南座
作・演出:野田秀樹
装置:岩井正弘
照明:北寄崎嵩
音楽・演出補:高都幸男
衣裳:原まさみ
舞台監督:津田光正
制作:高萩宏、中島隆志

【再演】 劇団夢の遊眠社第42回公演
1992年1月20日ー2月9日 東京公演/日本青年館
1992年2月13日ー3月1日 大阪公演/中座
1992年3月5日ー3月6日 名古屋公演/名古屋市民会館
作・演出:野田秀樹
装置:岩井正弘
照明:北寄崎嵩
音楽・演出補:高都幸男
振付:謝珠栄
衣裳:原まさみ
舞台監督:津田光正
制作:北村明子

【再再演】 新国立劇場主催公演
2001年6月1日ー6月30日 東京公演/新国立劇場中劇場
演出・脚本:野田秀樹
美術:堀尾幸男
照明:小川幾雄
衣裳:ひびのこづえ
選曲・効果・演出補:高都幸男
ヘアメイク:高橋功亘
演出助手:伊藤和美
舞台監督:廣田進
芸術監督:栗山民也
制作協力:NODA・MAP

ミュージカル 「ビリー・エリオット ~リトル・ダンサー~」


chirosukeは赤坂ACTシアターにミュージカル「ビリー・エリオット ~リトル・ダンサー~」を観てまいりました。

「ビリー・エリオット ~リトル・ダンサー~」
http://billyjapan.com/

2017年7月30日(日) 17:00~19:50
上演時間:2時間50分
第一幕 17:00~18:20 80分
休憩 20分
第二幕 18:40~19:50 70分

赤坂ACTシアター
座席は S席1階T列 中央ブロック上手通路側端 (13,500円)

【ロンドンオリジナル・クリエイティブスタッフ】
脚本・歌詞:リー・ホール
演出:スティーヴン・ダルドリー
音楽:エルトン・ジョン
振付:ピーター・ダーリング
美術:イアン・マックニール
演出補:ジュリアン・ウェバー
衣裳:ニッキー・ジリブランド
照明:リック・フィッシャー
音響:ポール・アルディッティ
オーケストレーション:マーティン・コック

【日本公演スタッフ】
演出補 : サイモン・ポラード
振付補 : トム・ホッジソン
音楽監督補 : スティーブン・ エイ モス
翻訳:常田景子
訳詞:高橋亜子
振付補:前田清実
音楽監督補:鎮守めぐみ
歌唱指導:山川高風
照明補:大島祐夫
音響補:山本浩一
衣裳補:阿部朱美
ヘアメイク:前田節子(StudioAD)
擬闘:栗原直樹
演出助手:西 祐子/伴・眞里子/坪井彰宏
舞台監督:徳永泰子
技術監督:小林清隆
プロダクション・マネージャー:金井勇一郎

出演:
ビリー:加藤航世
お父さん:吉田鋼太郎
ウィルキンソン先生:島田歌穂
ビリーのおばあちゃん:根岸季衣 
トニー:中河内雅貴
ジョージ:小林正寛
オールダービリー:栗山 廉
マイケル:古賀 瑠 
デビー:佐々木琴花
トールボーイ:山城 力
スモールボーイ:岡野凛音

chirosukeの感想は・・・
「リトルダンサー」はジェイミー・ベル主演の映画を観ていますが、舞台化はちょっと不安でした。
この舞台、思っていたよりずっと良かったです。

「ビリー・エリオット ~リトル・ダンサー~」は、イギリスの炭鉱の町に暮らす少年がバレエの魅力に気づき、ロイヤルバレエ学校を目指す話です。
2000年に公開された映画「リトル・ダンサー」を舞台化した作品で、2005年ウエストエンドで初演を迎えました。
2008年からはブロードウェイでも上演されています。
その日本版で、今回は全キャスト日本人です。

主役のビリーは4人います。(後に5人になっていました)
chirosukeが観たのは加藤航世くん。
プロフィールを見ると加藤航世くんは「バレエ歴9年」でバレエ経験者としては一番です。
バレエ経験、ダンス経験のないビリーもいるみたいなので、振り付け等一緒なのか気になるところ・・・。

ビリー役の4名は、約1年にわたる長期レッスン&オーディションを勝ち抜き、応募総数1346名の中から役を勝ち取ったそうです。
子供で1年は長いですね。
まさに長期育成型オーディションです。
応募条件は「147cm 以下、声変わりをしていない少年」プロ・アマチュア問わず、ダンス未経験者も OK!
だったそうです。
物語自体が、バレエに魅せられてやむにやまれぬ気持からバレエダンサーを目指す少年のお話なので、chirosukeはビリー役は4人のうち誰でもいいかと思っていました。
他のビリーを観ていないので比較することはできませんが、素晴らしいビリーでありました。

chirosukeがこだわったのは別の主要キャストです。
お父さん:吉田鋼太郎さん、ウィルキンソン先生:島田歌穂さん、ビリーのおばあちゃん:根岸季衣さん。
この三役はダブルキャストでしたがぜひこの役者さんで観たかったです。(好みです・・・)

映画ではビリーの成長がメインで描かれていたと思いますが、舞台はビリーを取り囲む大人たちや、社会をクローズアップしています。
イギリス社会で実際に起きた、炭坑の廃止・経営合理化に抗い戦う労働者階級の物語が描かれています。
仕事=生活がなくなるかもしれない状況に置かれた男たちの苦悩が、きちんとドラマになって見応えがありました。
民営化に反対しストライキする労働者、仕方なく体制側に従う労働者。
どちらも生活のために必死で、仕事に命をかける男たちの生き様が素晴らしいです。

バレエの華やかさとは真逆の、炭鉱の男たちの中で暮らすビリーの気持ちは周囲に受け入れられないのですが、最初から反対するだけだった武骨なお父さんが、ビリーを応援しようと決めたときの決意と行動にはchirosuke泣きました。
お父さん役の吉田鋼太郎さんすごく良い!

島田歌穂さんのウィルキンソン先生も良かったです。
ロイヤルバレエ学校に入学するために故郷を旅立つビリーに「これからあなたが学ぶ数年間で、最初にしなくてはいけないことは、私のレッスンをすべて忘れること」というシーンにはchirosuke、涙目・・・。

ミュージカル 「ビリー・エリオット ~リトル・ダンサー~」は、夢を追う少年の成長物語だけではありません。
「踊りたい!」という気持ちを抑えきれず、挫折しながらも無心に突き進む少年の姿に感動しますが、同時にイギリスの炭坑町の階級闘争が「バレエ」という夢に対比して描かれた、骨太の演劇でもあります。
だからこそ「バレエは夢のように美しい」と思えるのです。
chirosukeは別のキャストでも観てみたいと思うくらい、素晴らしい舞台でした。

シネマ歌舞伎「東海道中膝栗毛〈やじきた〉」


chirosukeはシネマ歌舞伎「東海道中膝栗毛〈やじきた〉(とうかいどうちゅうひざくりげ〈やじきた〉」を観てまいりました。
上映館はMOVIX亀有です。
ここは初めての映画館ですが大きくてとてもきれいです。

シネマ歌舞伎とは、松竹さんが開発した新しい観劇方法で、歌舞伎の舞台公演をHD高性能カメラで撮影しスクリーンで上映するというものです。
スクリーンでの「映像美」と「臨場感」は、劇場で生の歌舞伎を観ているかのような感覚になります。
一等席が2万円近くになることもある歌舞伎の本公演が2,100円で観られるシネマ歌舞伎は納得できます。
chirosukeは今までにシネマ歌舞伎を数本観ていますが、どれも満足であります。

シネマ歌舞伎
「東海道中膝栗毛〈やじきた〉(とうかいどうちゅうひざくりげ〈やじきた〉」
原作:十返舎一九
構成:杉原邦生
脚本:戸部和久
脚本・演出:市川猿之助

〈シネマ歌舞伎 制作スタッフ〉
監督:浜本正機
撮影監督:鈴木達夫
サウンドデザイン:瀬川徹夫
音楽:富貴晴美

上演月:2016(平成28)年8月
上演劇場:歌舞伎座
シネマ歌舞伎公開日:2017(平成29)年6月3日
上映時間:90分
料金:一般 2,100円(税込)

【配役】
弥次郎兵衛:市川 染五郎
喜多八:市川 猿之助
盗賊白井髭左衛門:市川 右近
天照大神:市川 笑也
十六夜:中村 壱太郎
茶屋女お稲実は女盗賊三ツ大お新:坂東 新悟
五日月屋番頭藤六:大谷 廣太郎
信夫の若君 伊月梵太郎:松本 金太郎
供侍 伍代政之助:市川 團子
読売屋文春:市川 弘太郎
老船頭寿吉:市川 寿猿
大家七郎兵衛:松本 錦吾
役者/女札親師毬夜:市川 春猿
石油王夫人麗紅花:市川 笑三郎
役者/用人山田重右衛門:市川 猿弥
闇金利太郎:片岡 亀蔵
アラブの石油王亜刺比亜太:市川 門之助
五日月屋女房お綺羅:市川 高麗蔵
大家女房お米:坂東 竹三郎
劇場支配人出飛人/奉行大岡伊勢守忠相:中村 獅童

chirosukeの感想は・・・
めちゃめちゃ楽しかったです。
オープニングから大笑いです。
黒子のバイトくん・・・。
「スーパー歌舞伎ワンピース」の後に上演されていますから、ワンピースのパロディなんかもあってとにかく楽しいです~!
随所の時事ネタ(マスゾエさん・号泣野々村議員、文春砲・・・)とか面白すぎでありましょう。

御存知「やじさんきたさん」がお伊勢参りに行く道中が演じられるんですが、お伊勢参りに行くきっかけからしてハチャメチャであります。
ひょんなことから同行することになった、信夫の領主梵太郎と御伴の政之助が芸達者で素晴らしい!
この子役二人が凄いんだ。

シネマ歌舞伎の別の上映館で、子役の舞台挨拶があると聞いていたchirosuke、「なんだ子役かぁ~」とスルーしておりましたが、この二人の子役なら行ってみたかったぞ舞台挨拶!
それくらい子役グッジョブでありました。
何と言ってもかわいらしい・・・。

信夫の領主梵太郎と御伴の政之助は、家督を守り、母の病気平癒を伊勢神宮に願うため、命懸けでお伊勢参りに旅立ちます。
不安な気持ちを抑えて、決意を新たにとっても健気!
若君の伊月梵太郎を演じるのは松本 金太郎。
供侍の伍代政之助を演じるのが市川 團子です。
この二人の子役が最高と言っても良いくらいです。
chirosukeは團子推しであります!

それに引き換え、オトナのくせに冴えない弥次喜多の2人・・・。
ぱっとしないし、ええ加減で適当で小ズルいんですが、どこか憎めない二人です。
調子こいてるやじさん・きたさんを演じる染五郎さんと猿之助さんの掛け合いが絶妙で、もう笑うしかありません。
巧すぎでしょ!

姑息な二人が偶然にも大金を手にし、成り行きでお伊勢参りに向かうんですが、東海道の茶屋で梵太郎と御伴の政之助に出会い、4人で旅をすることになります。

お伊勢参りに行くはずが、何故か道中で一行は、ラスベガスに辿り着いたり、化け猫屋敷や盗賊の一味、闇金にも襲われます。
何でラスベガス・・・?
そこに登場する劇場支配人役の中村 獅童さんが素晴らしい~!
エキセントリック爆発であります。
chirosukeは笑いすぎで涙目でしたよ・・・。

艱難辛苦というか、すったもんだを乗り越えて、やっとの事でお伊勢参りを果たす一行です。
最後は、やじさん・きたさんがしっかり勢いで「宙乗り」までやっちゃいます。

原作の「東海道中膝栗毛」は享和2 (1802)年より刊行された滑稽本です。
「膝栗毛」とは、徒歩で旅行をすることなんですって。
主人公2人の道中記が行く先々の土地の風俗を交え面白可笑しく書かれていて、江戸時代のエンタメですね。

「東海道中膝栗毛〈やじきた〉」は文句なしに楽しい歌舞伎でした。
そしてchirosukeが思ったこと・・・。
あちこちで「ドリフネタ」を彷彿とさせるシーンがあり、あらためて「ドリフターズ」って素晴らしかったんだ!
コドモchirosukeが大好きだったドリフネタ、今でもインパクトがあるし、身体をはったギャグは大ウケでした。

観客に見えないところで、ものすごく詳細な段取りと練習と努力があったこと、オトナchirosukeは解ります。
お約束のように落ちてくるタライ、何故か毎回その下に人がいて、大笑いしている間に舞台袖から人が全速力で走ってきて、必ずぶつかってすっ転ぶ。
バカだなぁ、ドジだなぁとケラケラ笑っている間に:軽快な音楽とともに舞台の盆が廻り、あっという間に次のシーンに移っていく見事さは、王道でありました。
ドリフは小ネタギャグをドタバタに高めた、まさにスラップスティックの先駆者だったのですね。

今回の舞台でも素晴らしいドタバタが観られました。
ドリフがやったネタやギャグは、色褪せずに後世に引き継がれオトナchirosukeを楽しませてくれます。
それも「芸術」だとchirosukeは思います。
ええ加減に見える、偶然や適当に見せる、サラッとさりげなく見せることの難しさ・・・。
その努力を観客に感じさせないのがプロですね。
「ええ加減は芸の神髄、意味づけは時の権力」でありました。

シネマ歌舞伎「東海道中膝栗毛〈やじきた〉」はとても楽しい歌舞伎でした。
スラップスティック万歳!
素晴らしい舞台をありがとうでした!

舞台 「ハムレット」


chirosukeは舞台「ハムレット」を観てまいりました。

ハムレット
https://www.hamlet-stage.com/

2017年4月23日(日) 13:00~
上演時間:3時間20分
第一幕 95分
休憩 15分
第二幕 90分

東京芸術劇場 プレイハウス
座席は S席1階LB列 (9,000円)

作:ウィリアム・シェイクスピア
上演台本:ジョン・ケアード 今井麻緒子(松尾和子訳に基づく)
演出:ジョン・ケアード
音楽・演奏:藤原道山
出演:
ハムレット/フォーティンブラス他:内野聖陽 
オフィーリア/オズリック他:貫地谷しほり
ホレイショー:北村有起哉 
レアティーズ/役者たち(ルシアーナス)他:加藤和樹 
ローゼンクランツ/バーナード/役者たち/イギリス使節1他:山口馬木也
ギルデンスターン/マーセラス/役者たち/イギリス使節2他:今拓哉
フランシスコー/レナルドー/役者たち(序詞役)/牧師他:大重わたる 
ヴォルティマンド/役者たち/水夫1他:村岡哲至 
貴婦人/役者たち他:内堀律子
役者たち(劇中の王妃)/水夫2他:深見由真
ボローニアス/墓掘りの相棒他:壤晴彦 
墓掘り/役者たち(劇中の王)/コーネリアス/隊長他:村井國夫 
ガートルード他:浅野ゆう子 
クローディアス/亡霊他:國村隼

シェイクスピア劇の最高峰と名高い「ハムレット」です。
シェイクスピア四大悲劇のひとつです。(ハムレット・オセロー・マクベス・リア王)
演劇少女のお約束シェイクスピアですが、chirosukeは生のハムレット舞台は初めて観ました。
(映像での舞台中継は観たこと有り)
粗筋と主要な登場人物名、有名なハムレットの台詞「To be, or not to be (生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ)」は知っています。

「ハムレット」、chirosukeの感想は・・・
長い!
シェイクスピアの戯曲の中で最も長いというだけあって、上演時間も長い!

chirosukeはこの舞台、演出がジョン・ケアードさんでわずか14名のキャストということで観たいと思いました。
ジョン・ケアードさんと言えばミュージカル「レ・ミゼラブル」オリジナル版で世界的に有名になった、名演出家であります。
英国ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)の名誉アソシエート・デイレクターとして、さまざまなシェイクスピア劇を手がけてこられたそうです。

登場人物は主役も含め複数の役を演じます。
でも、同じ役者が演じているかが解る時と、気付かない場合もありました。
舞台の下手サイドにも客席があります。
サイド席は役者さんに近いですが、座席で印象が変わるでしょうね。
上手のサイドは登場人物が待機しています。
演じていない時の役者が座っているという、ある意味とてもシェイクスピア的な構図だとchirosukeは思いました。

ハムレットは簡単に言うと、デンマーク王子ハムレットが、父を殺し母を奪い王位を簒奪した叔父に復讐し、仇を討つ物語です。
シェイクスピアのお約束、モノローグが多いです。
役者さんはすごく巧いです。
なのにchirosuke、一幕目で何度か意識が無くなりました・・・。
どうしたんだchirosuke、ジョン・ケアード演出じゃないか!
休憩時間には次に控える第二幕90分に耐えられるか、ちょっと不安なchirosukeでした。
そして今更ですが、劇場内に貼られているポスターを観て、ガートルード役が浅野ゆう子さんだと知ったchirosukeは驚きました。
浅野さん、存在感あり!

二幕目は見応えがあり、意識が無くなることは無かったです。
貫地谷しほりさん演じるオフィーリアの狂気の演技は、凄まじくも哀れでchirosukeはちょっと涙目です。
オフィーリアと言えば、ジョン・エヴァレット・ミレーの絵画がchirosukeには刷り込まれているので、哀れさ倍増です。
一幕目では小物っぽく感じたクローディアスでしたが、後半ワルっぷりが増してまさに復讐のターゲット。
國村隼さん、悪人っぷりが良い感じです。
内野聖陽さんのハムレットは、悩める青年というより適度な泥臭さのある人間という感じでした。
口語とは違う、大仰な翻訳の台詞になるシェイクスピア劇ですが、この舞台では登場人物が生身の人間だと強く意識できるものでした。
(特に二幕目)
村井國夫さんが墓堀り役で軽妙な演技を見せてくれます。
この役、chirosukeはすごく好きでした。

シェイクスピアの悲劇だけあって、最後はほぼ全員が死んでしまうという救いのないお話です。
登場人物と相関図は理解していたと思っていたchirosukeでしたが、「ローゼンクランツとギルデンスターン」が登場したのには、ハッとしました。
あの二人は、ハムレットに出てくる人だったのか・・・!
そしてやっぱり、「ローゼンクランツとギルデンスターン」も死んでしまうのでした。
(結構早いうちに、あっけなく、しかもナレ死に近い)
シェイクスピア、容赦ないです。
恐るべし四大悲劇のひとつでありました。

ミュージカル「SINGIN’IN THE RAIN ~雨に唄えば~」 2017年


chirosukeは渋谷ヒカリエ11Fにあるシアター・オーブにミュージカル「SINGIN’IN THE RAIN ~雨に唄えば~」を観に行ってまいりました。

「ミュージカル「SINGIN’IN THE RAIN ~雨に唄えば~」
2017年4月15日(土) 12:30~:
上演時間:約2時間40分
第1幕 (90分) 12:30~14:00 
休憩 20分
第2幕 (50分) 14:20~15:10 

http://www.singinintherain.jp/

東急シアターオーブ(渋谷ヒカリエ11階)
座席は S席 1F 2列 中央ブロック
13,000円
演出:ジョナサン・チャーチ
振付:アンドリュー・ライト
出演 :
ドン・ロックウッド:アダム・クーパー
コズモ・ブラウン:ステファン・アネリ
リーナ・ラモント:オリビア・ファインズ
キャシー・セルドン:エイミー・エレン・リチャードソン

chirosukeはこの舞台は2度目です。
(最初の観劇は2014年11月21日のブログをみてね)

とても楽しいこの舞台がchirosukeは大好きです。
再演が決まってから、昨年の11月に頑張ってチケットを取っていました。
(再演のチケットについては2016年11月3日のブログをみてね)

前から2列目の中央ブロック、お約束のびしょ濡れシートであります。
今回もchirosukeはアダム・クーパーさんに思いっきり水をかけていただきました~!
chirosukeはしっかりレインコートを持参して、着こんで座っていました。

一幕目のラスト、雨の中を唄い踊るアダム・クーパーさんが容赦なく水を蹴り上げると周囲のお客さん達と一緒に「きゃ~!」と叫びつつフードを被ってガードしましたが、それでも濡れました!
劇場側が前列シートに用意してくれたビニールシートも使いましたが、濡れます!
100円均一ショップのフード付きレインコートは頑張っていましたが、もともと「濡れたい人専用席」みたいなもんです。
めちゃめちゃ楽しかったです!

「SINGIN’IN THE RAIN」chirosukeの感想は・・・。
メインキャストは前回と変わらず、皆さん素晴らしかったです。
席が一列前になった分、アダム・クーパーさんが近い!

軽やかな身のこなしで唄い踊るアダム・クーパーさんはすごいです。
ダンサーさん達は皆さんジャンプが高くて回転もすごいんですが、アダム・クーパーさんはダントツでした。
脚を上げる角度が違う・・・!
chirosukeは今回も呆然とするくらい見とれてしまいました。

今回もカーテンコールのみ写真(静止画に限る)撮撮影可でした。
でもアナウンスがギリギリで、iPhoneの電源でもたもたしてしまったchirosuke、最初の黄色いレインコート写真は撮れず・・・。
びしょ濡れになり、フードで水を避けつつ、拍手しながら頑張って写真をとりました。

この舞台は、「観客を楽しませよう」という心意気に溢れています。
観ていて楽しいし、笑うし、心から共感して応援したくなります。
アダム・クーパーさんはダンスも歌も演技も素晴らしいエンターティナーです。
コズモ・ブラウンを演じたステファン・アネリさん良いなぁ~!
リーナを演じたオリビア・ファインズさんの声には今回も大爆笑のchirosukeですが、逆襲に転じた時のワルっぷり、かわいくてとっても悪い!
「アタシはバカじゃないわ!」と何度も言いながらワルっぷりを発揮するんですが、リーナだもんね。

今回は、この舞台の背景にある「サイレント映画からトーキー映画への変遷」も深くchirosukeの心に残りました。
信じて続けてきた手法が、新しいものにとって替わり廃れていく寂しさ。
リーナに象徴される、焦りと悲哀と滑稽さ、抗いながらも去っていかざるを得ない古い者たちにchirosukeは涙目になりました。
その流れを感じつつ、新しい波にただ飲まれていくのではなく、波に乗っていこうとするしたたかな「ショービジネス」の世界は、まさに「The show must go on : ショーを続けねばならない」でありました!

カーテンコールの写真です。
黄色い傘がアダム・クーパーさんです。
拡大して見てね。

「SINGIN’IN THE RAIN ~雨に唄えば~」はchirosukeの大好きな舞台のひとつです。
観ないと損します。
音楽もダンスも歌も、素晴らしいです。
何より、人の心がきちんと伝わってくる舞台です。

chirosukeは今回も思いました。
舞台は好き嫌いです。
もしこの舞台が嫌いだという人がいたらそれはその人の勝手ですが、きっとchirosukeとはお友達にはなれないと思います。

今回の舞台は日本公演のみ、東京限定です。
やはり東京万歳であります!

NODA・MAP第21回公演「足跡姫」~時代錯誤冬幽霊~ 2回目千秋楽


NODA・MAP第21回公演 「足跡姫」~時代錯誤冬幽霊~、千秋楽を観に行ってまいりました。

「足跡姫」は2回目の観劇です。
(1回目の観劇については2017年2月18日のブログをみてね)

NODA・MAP第21回公演「足跡姫」~時代錯誤冬幽霊(ときあやまってふゆのゆうれい)~
http://www.nodamap.com/ashiatohime/

2017年3月12日(日) 14:00~
上演時間:2時間40分
1幕 約80分
休憩  15分
2幕 約65分

東京芸術劇場プレイハウス
作・演出:野田秀樹 

出演
三・四代目出雲阿国:    宮沢 りえ 
寂しがり屋サルワカ:    妻夫木 聡
死体/売れない幽霊小説家: 古田 新太
戯けもの:  佐藤 隆太
踊り子ヤワハダ:  鈴木 杏  
万歳三唱太夫:  池谷 のぶえ 
伊達の十役人:  中村 扇雀
腑分けもの:  野田 秀樹

秋草瑠衣子、秋山遊楽、石川朝日、石川詩織、大石貴也、上村聡、川原田樹、末冨真由、鷹野梨恵子、手代木花野、土肥麻衣子、西田夏奈子、野口卓磨、野村麻衣、花島令、福島梓、本間健太、前原雅樹、松崎浩太郎、的場祐太、モーガン茉愛羅、吉田知生、吉田朋弘

座席は S席2階A列 下手ブロック (9,800円)

劇場ロビーに展示されていた舞台装置の模型です。
前回展示されていた模型には、背景の桜も花道の足跡もありませんでした。

「足跡姫」~時代錯誤冬幽霊~ 千秋楽、chirosukeの感想は・・・
やはり泣けて泣けてしょうがなかったです。
前回の感想と同じですが、戯けものを演じた佐藤 隆太さんが、とてものびのびされていたように思いました。
りえちゃんの足跡姫は凄味を増してて、素晴らしかったです。
後半の「舞台の上なのになんで、こんなにも風もひかりも感じるんだろう?」にはchirosuke号泣です。
舞台ってすごいんだよ、とchirosukeは大共感しつつ、泣きながら両手をグーであります。
大向こうさんもおられました。
千秋楽っていいなぁ~!

何度も続いたカーテンコール。
chirosukeは拍手を続ければ舞台は終わらないと思い、ずっとずっと拍手を続けました。
客電が灯いても拍手は鳴り止みませんでした。
最後のカーテンコールで出てきた野田さんは、舞台中央に正座されて深々と頭を下げられました。
その時、見えないけど絶対隣にいた勘三郎さんの背中を押すようにされるもんだから・・・
口には出さなくても「ほら、お前も一緒に挨拶するんだよ」みたいに。
chirosukeは拍手しながら涙涙・・・。
破顔一笑の勘三郎さんの姿が見えたように思いました。
それでもいつか舞台は終わります。

ありていに言えば、舞台もひとつのリアリティです。
ありていって、「有り体」って書くんですね。
身体は無くとも、勘三郎さん、舞台に居られましたね・・・。
時々、また地球の反対側からこちらに戻ってきてください。
大丈夫、地球の反対側とこちらは「すっぽん」でつながっているんですから。

「足跡姫」の戯曲が収録された「新潮 1346号」です。

chirosukeは書店やネットを探し回りましたが完売で涙目。
劇場ロビーでも販売していましたが、千秋楽前に完売でした。
何とかAMAZONで出品者の方から、定価930円(税込)の本を送料込みの1,700円近くで身請けしました。
初動が遅く、chirosukeの失敗でありますが、どうしても読みたかったので仕方ないですね。

野田さん、素晴らしい舞台をありがとうです。
サルワカがやってのけたような「起死回生のどんでん返し」を、これからも観せてください。
そのためにchirosukeも、何度も何度も客席に足をはこびます。
そこでは、舞台の上と同様に、客席でも風もひかりも感じます。
ニセモノの生と死が何度も演じられ、偽物だけど、その偽物にこそchirosukeは感動します。
chirosukeの座右の銘のひとつ、ジョン・アーヴィングが「ホテル・ニューハンプシャー」で書いた「人生は深刻だが、芸術は楽しい」であります。

「足跡姫」~時代錯誤冬幽霊~ 千秋楽を観られて、とても嬉しいchirosukeでありました。
東京万歳!

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ほうろうって・・・

優しく扱ってあげないと、欠ける、はがれる。
お鍋の取っ手は熱くなる・・・。
お高い・・・。
でも綺麗なんだものっ!!

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