舞台 「ビニールの城」


ビニールの城2chirosukeは、シアターコクーン・オンレパートリー2016芸術監督 蜷川幸雄・追悼公演「ビニールの城」を観に行ってまいりました。

シアターコクーンの芸術監督でもあった蜷川幸雄さんが2016年5月12日に亡くなられました。
「ビニールの城」は蜷川さんが演出をされるはずでした。
とても残念です。
ご冥福をお祈りいたします。

「ビニールの城」
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/16_castle/

2016年8月12日(金) 14:00~16:05
上演時間:2時間5分
休憩無し
シアターコクーン
座席は中2F立見席 L列(下手) 前方
4,000円

作:唐十郎
演出:金守珍(キム・スジン)
監修:蜷川幸雄
装置:中越司
照明:勝柴次朗
音楽:大貫誉
音響:井上正弘
衣裳:宮本宣子
ヘアメイク:鎌田直樹
振付・演出助手:大川妙子
映像:泉次雄
人形デザイン:野村直子
腹話術指導:いっこく堂
舞台監督:足立充章

「キャスト」
朝顔:森田剛
モモ:宮沢りえ
夕一:荒川良々
リカ: 江口のりこ
バーテン:大石継太
鳥丸:鳥山昌克
水丸:柳憂怜
糸丸:広島光
管理人:石井愃一
引田:六平直政

ビニールの城chirosukeの感想は・・・

どうしても観たかった舞台です。
チケットが取れず大変苦労しましたが、立見でも観ることができて良かったです。

「ビニールの城」は80年代を圧倒した劇団第七病棟に唐十郎さんが書き下ろした、アンダーグラウンド演劇最高峰の「伝説的作品」と言われています。
1985年10月に初演されました。
それに先立って、大阪の近鉄小劇場のこけら落としの演目として10月3日~10日に上演されました。
演劇少女だったchirosukeは近鉄小劇場で上演された舞台を観ています。
31年前のことです。

石橋蓮司さんと緑魔子さんの演技を観るのも初めてでしたが、舞台の上に現れた巨大な水槽、そこに沈む腹話術の人形と水槽に飛び込む女優さん、水槽から流れ出る大量の水の演出に驚きました。
石橋蓮司さんと緑魔子さんの演技にも釘づけで、艶めかしくて美しい唐節の台詞に、少女chirosukeはドキドキしたことを覚えています。

そんな「ビニールの城」が30年以上を経て再演されると知り、絶対観たい!と思っていましたがチケットがとれません。
チケットは電話予約のみでした。
主演が森田剛さんで、ファンの方たちの熱意がすごかったのか、先行予約はすべて外れました。
一般前売りも電話をかけ続けたものの、即完売でした。
その後発売された立見予約チケットも取れず、オークションを確認していると、とんでもない価格です。
立見席でさえ1万円以上、見づらいコクーンシート(6,000円)は15,000円、S席(11,500円)に至っては25,000円~30,000円が相場でした。
これはchirosukeでもムリだと思いました。
舞台の評判、蜷川さんの追悼と考えてもこの価格はすごい・・・。
30年も前のアングラ劇がこれほどの人気とは、キャスティング人気でしょうね。

chirosukeは以前、つかこうへいさんの「熱海殺人事件」の再演の時にこう書きました。
「名作でも上演されなければただのノスタルジーです。
「熱海殺人事件」も「つかこうへい」も知らない人たちが、EXILEの人を起用することで劇場にまで足を運んでくれ、舞台を観て感動できるなら、まさに制作側の勝利でしょう。
客席が埋まらなければ興業としてはダメ、結果作品も廃れてしまいますね。
作品名、作家名だけでは40年、50年と続く作品にはならないでしょう。」

今回も同じことを思いました。
唐十郎も、アングラも、第七病棟も知らない世代が、舞台を観に来るのですもの。
チケットが3万円だろうと納得できる人は身請けするでしょう。
残念ながらchirosukeはそこまで全力を出せませんでした。
そこで「当日券」に望みをつなぐことにしました。

ビニールの城立見チケット全ての公演日前日の16時から電話予約のみ、先着順で若干数の当日券を販売する仕組みです。
座席が残っていることは考えにくく、立見覚悟です。

しかもオークションには、「当日券予約代行」という商品?まで出品されていました。
どこまで取りにくいチケットなんだ・・・!
chirosukeはがんばって電話をかけ続け、5分後につながり、4番の整理券番号をとることができました。
とてもラッキーでした。
行けば絶対に観られる、しかも正規料金です。
中2階の下手サイド前方立見席、これがchirosuke全力の「ビニールの城」チケットでありました。

31年ぶりの「ビニールの城」は素晴らしい舞台でした。
池があって、大きな水槽もでてきます。
水がどばどば流れて、腹話術の人形も半端ない数で、舞台美術も素晴らしいです。
30年前のchirosukeのおぼろげな記憶ではなく、目の前の森田剛さん、宮沢りえさんの演技にとても感動しました。
役者の身体から発せられる、水の上を流れるような唐さんの台詞は、変わらず艶めかしく美しかったです。
そしてとても力強く、切なく哀しくて、chirosukeは何度か涙目になりました。

森田剛さん、チケットに苦労したのは半分以上、君のせいだと思います。
初めて森田さんの舞台を観ましたが、chirosukeの持っていたイメージとは違う役者:森田剛さんでした。
繊細で、屈折していて、ストイックで素晴らしい「朝顔」を観られて良かったです。

宮沢りえちゃん、本当に妖しく美しい「モモ」でした!
儚くて切ない劣情です。
chirosukeはいくつかのシーンで記憶の中の緑魔子さんとだぶりました。(良い意味です)
chirosukeが記憶していた唄・・・
♪あたしはビニールの城で待っている
真昼に春を売る店の その向こうにひるがえる スカートのようなお城でと
コスチュームは布一枚 それも絹ではありません
肌を包むビニールで 破けば げすな あぶらみだけど
姫を気取って 眠っています♪
りえちゃんの歌うシーンでchirosukeは涙目でした。

ビニールの城パンフレットパンフレットは2,000円(税込)です。

これ、ビニールに包まれていました。
まさに「ビニ本」であります。
破かないと読めないので、chirosukeは帰宅してからカッターナイフでそーっと切れ目をいれて開きましたよ・・・。

パンフレットも手が込んでいます。
心憎い演出ですね。

「ビニールの城」は、毒々しいくらいの耽美な鮮やかさに満ちた世界でした。
そこにある孤独は、寄り添ってはいても決して触れ合うことのない人と、薄いビニールの膜一枚で隔てられていますが、何て深い距離なんだろう。
水中の屈折のような、アンバランスで美しい愛の物語だとchirosukeは思います。

悲劇喜劇9ロビーで販売していた「悲劇喜劇」には「ビニールの城」の戯曲が掲載されています。
chirosuke、こちらもパンフレットと合わせて身請けしてきました。
1,500円(税込)

演劇雑誌を身請けしたのは数年ぶりです。
昔、演劇少女chirosukeは長い間「テアトロ」と「新劇」を定期購読していたことを思い出します。

31年前、「ビニールの城」初演を観た時は、舞台に立つことを夢見ていた少女chirosukeでした。
今は演劇ファンとして観客席から舞台を観ているchirosukeです。
30年の時を経て「ビニールの城」を観ることができて、感慨深いものがあります。
「ビニールの城」は映像化もされていません。
30年前に舞台を観た人の記憶が残っているだけです。
上演されることで伝説は引き継がれていくのだと思います。

2時間5分、休憩無しで立見しても魅力的な舞台に時間を忘れて見入っていました。
新しい「ビニールの城」は、chirosukeの記憶に残る素晴らしい舞台でした。
「ビニールの城」は東京公演のみです。
東京万歳!
シアターコクーンよ、唐さんのもうひとつの名作「人さらい」の再演もぜひ期待します!

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優しく扱ってあげないと、欠ける、はがれる。
お鍋の取っ手は熱くなる・・・。
お高い・・・。
でも綺麗なんだものっ!!

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