舞台 「タンゴ・冬の終わりに」


タンゴ冬の終わりに土曜日、2本目のお芝居は渋谷のパルコ劇場の「タンゴ・冬の終わりに」であります。

「タンゴ・冬の終わりに」

http://www.parco-play.com/web/play/tango2015/

2015年9月5(土)
19時~21時45分

上演時間 : 2時間45分
第1幕 19:00〜20:20 (80分)
休 憩 15分
第2幕 20:35〜21:45 (70分)

座席は全席指定 J列上手ブロック
JCB特別割引価格(9,500円→7,800円)

作:清水邦夫
演出:行定 勲

出演:
清村 盛(引退した舞台俳優):三上博史
その妻 ぎん(女優):神野三鈴 
名和水尾(新進女優):倉科カナ
名和 蓮(その夫・俳優):ユースケ・サンタマリア
清村重夫(盛の弟):岡田義徳
清村はな(盛たちの叔母):梅沢昌代
宮越信子(受付兼雑役婦):河井青葉

chirosukeはパルコ劇場の前のカフェで開演時間を待っている時に、今日が初日であることに気付きました。
オカネと時間をやりくりしてチケットをとっているので、余程でないと初日とか楽日とか選んでいられないのが現状です。
まぁ、初日の緊張感があって良いんじゃないの・・・くらいの気持ちでした。

chirosukeの感想は・・・
素晴らしい舞台でした。
これはchirosukeが今まで観た芝居の中でも、忘れられない舞台のひとつになると思います。

何が素晴らしいかというと役者の演技が素晴らしいです。
メインキャストは役どころが俳優や女優を、演じるわけです。
ここですでに二重構造になっている、そこに持ってきて、三上博史さん演じる清村盛は精神を病んでいて、現実と芝居の区別がつきません。
三上博史さんの演じる「狂気」が凄まじい。
ほぼ出ずっぱりで主人公を演じているのですが、ほんとうにすごいです。

妻ぎん役の神野三鈴さんもまたすごいです。
夫の狂気に寄り添い、慰め、愛情を注いでいるかに見せて、実はこの妻が一番狂っているんじゃないかとchirosukeはぞくっとしました。
日々狂気を増していく主人公の元恋人である水尾を演じた倉科カナさんの美しさと、狂気に翻弄される演技もまた狂気をはらんでいるようです。

出演者全員が巧すぎる!
唯一、ユースケ・サンタマリアさんが迫力不足?と感じたchirosukeですが、役どころ(演出)がちょっと軽いのかも知れません。

舞台は日本海に面したとある街の、廃れた映画館です。
日本海、凍てつく冬、雪、過去の呪縛、狂気、記憶の中の姉、謎の人物、都会からやってきて帰れなくなる不条理、狂おしい愛憎、暴かれる秘密と、お約束の清水ワールド全開です。
派手な場面転換があるわけでもない。
マイクを使わない役者の生の声、一見地味なストレートプレイです。
役者の力量がchirosukeを惹きつけ、食い入るように見入ってしまいました。

chirosukeは昔、一度は舞台に立つ側を夢見ていました。
立とうとして叶わなかったのですが、「演じる」ことを経験しています。
演劇少女の経験と記憶が、登場人物たちの「演じる」恐怖のような部分を感じてしまうのかもしれません。
決して自分の言葉ではない役の台詞を発しているのに、心は役にどっぷり入り込んでしまう。
尚且つ、演じている自分を客観的に眺めている自分を感じる不思議な感覚です。
これでいいのだろうかと自問自答しながら、役にどんどん入り込んでいく自分を検知している自分を感じる・・・。
盛が現実と狂気の狭間で叫ぶ「自分の言葉じゃない!全部芝居の台詞だ!自分の言葉が無いんだ!!」という「演技」に一瞬ですが、底の無い恐怖を感じてしまいました。

「タンゴ・冬の終わりに」は初演は1984年に蜷川幸雄演出で、主役は平幹二朗さんだったそうです。
演劇少女chirosukeはタイトルだけしか知りませんでした。
舞台は生き物ですから、今のchirosukeだからこそ感じられる感動があります。
もちろん、若い頃と違って、感じられない部分も多々あるはずです。
30年の時を経て再演され、初演のパルコ劇場に戻ってきたこの作品は、清水邦夫さんの名作中の名作だと思います。
今回chirosukeの中で名作になったのは、三上博史さんの演技のせいです。
役者というのはここまで魂を削って演じるものかと、心が震えてしまいました。
chirosukeはあんなふうに演じられなかった。
涙は出ません。
客席から観ていて、ぐっと力が入るような舞台です。
こんな感動は久しぶりです。

三上博史さんのデビュー作、寺山修司監督の映画「草迷宮」をchirosukeは東京、大阪の映画館で5回くらい観ています。(DVDも持っています)
ファンではありませんが、三上さんが巧いだろうなとは予想していました。
しかしこんな、渾身の演技を見せられるとは思いませんでした。
熱演ではありません。
chirosukeの持論、熱演はほめ言葉に非ずです。
でもいつもの「好演」という賛辞では現せないくらいの心に響く演技でした。

「時代の見えない部分としっかり結びついているわたしのあなたへの思いが、この胸に熱く熱く溢れていることを」
終盤の主人公:清村 盛の台詞です。

舞台の上から「タンゴ・冬の終わりに」という物語の登場人物である清村 盛の台詞として、観客のひとりchirosukeに届きました。
同時に役者:三上博史の言葉として、一度は舞台に立ちたいと夢をみたけど叶わず、今は観客として客席にいる元演劇少女chirosukeの心の深いところにも届いたような気がしました。
そして役者の思いが届いたのは、chirosukeだけではなかったようです。

終演時間が22時前。
客電が点くと電車の時間の関係で席を立つ人もチラホラ見られる中、拍手が止みませんでした。
カーテンコールが一度。
それでも拍手が止みません。
2回目のカーテンコール、なんと客席総立ちのスタンディング・オベーションでありました。
chirosukeのも立って精一杯拍手しました。
初日ですよ?
初日のスタンディング・オベーションってあるんだ・・・。
驚いたような三上博史さんのお顔がとても印象的でした。

パンフレットは1,500円。
帰りに身請けいたしました。

舞台は作り手と観客がひとつになって初めて成功する、つかの間の夢です。
奇跡のような素晴らしい時間をありがとうでした!

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ほうろうって・・・

優しく扱ってあげないと、欠ける、はがれる。
お鍋の取っ手は熱くなる・・・。
お高い・・・。
でも綺麗なんだものっ!!

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