舞台 「火のようにさみしい姉がいて」


火のようにさみしい姉がいて1三連休の初日、Bunkamura シアターコクーンにシス・カンパニー公演「火のようにさみしい姉がいて」を観に行ってまいりました。

2014年9月13日(土) 13:00~
上演時間:2時間10分
1幕 65分
休憩 15分
2幕 60分

Bunkamura シアターコクーン
座席は1F C列 下手ブロック(9,500円)
作:清水邦夫
演出:蜷川幸雄
出演 :
中ノ郷の女:大竹しのぶ 
男:段田安則
妻:宮沢りえ
みをたらし:山崎一 
スキー帽:平岳大 
青年:満島真之介
見習い:西尾まり 
ゆ:中山祐一朗 
しんでん:市川夏江
べにや:立石涼子 
さんざいみさ:新橋耐子 ほか

演劇少女だったchirosukeは清水邦夫さんの戯曲はいくつか読んでいます。
夢なのか現実なのか曖昧な不思議な世界が描かれていて、そこで繰り広げられるとても「不条理」な展開が好きでした。
清水さんの戯曲は役者の演技はリアリズムなんだけど、リアルに演じれば演じるほど不条理さが濃くなって、何が本当で誰が嘘をついているんだかわからない。
台詞は普通の言葉なんだけど、言葉が生々しいが故に不条理さが際立つという感じでした。

chirosukeは昔、テレビの舞台中継で清水さんが主宰されていた「木冬社」の公演「あらかじめ失われた恋人たちよ」を観ています。
清水さんの奥様だった松本典子さん(今年3月に亡くなられました)、岸田今日子さん(2006年に亡くなられました)、吉行和子さん、清水紘治さん等が出演されていた「あらかじめ失われた恋人たちよ」は録画して何度も観たものです。
幻の蝶を追いかける男が踏み込んだ田舎(閉ざされた集落)で起きる不思議で不条理な出来事、個性的で職人技演技力の女優三人の絡み、追い詰められた男を演じる、清水紘治さんの捉えどころの無い絶妙な演技とニヤリとした笑い顔は、演劇少女chirosukeにはとても魅力的でした。

そんな清水作品、生の舞台は初めてのchirosukeであります。(演劇研究所時代のアマチュア劇団公演は除く)
「火のようにさみしい姉がいて」は、1978年初演です。
chirosukeは大竹しのぶさんと 宮沢りえさんの舞台初共演(競演!)と、夢の遊眠社時代に活躍されていた段田安則さんを観たかったので期待していました。

美しく、恐ろしい悪夢のような世界でした。
記憶の中にある「ふるさと」は数十年ぶりに訪れてみると何て怖い・・・!
良くあるパターンなんですが、しのぶちゃん、怖すぎでしょ!
一幕目は殆ど台詞がなく、据わったような目でシュッ・・シュッ・・と剃刀を研ぐ床屋さんです。
あの目が怖いですぅ~。

そしてりえちゃん、しのぶちゃんに反撃にでます!!
負けていません。
「さぁ、!あの婆あに反撃するのは今よ!」と夫(段田安則)をけしかけるシーンは、観ているchirosukeが「ああっ、りえちゃんダメ!婆あなんてしのぶちゃんを怒らせたらタダじゃすまないよ!」と心配になるくらいでした。
脚本がそうなんでしょうが、「婆あ」って何度か叫んでました・・・。

舞台には本物の「婆あ」が大勢でてきます。
蜷川さん主催の平均年齢75歳の劇団「さいたまゴールド・シアター」の婆あ、失礼・・・女優さん達です。
この婆さんたちがすごいんだ!
すごい迫力で田舎の婆さんそのもの。しかもかわいいお婆ちゃんじゃなく、とっても危険な婆さんたちです。
決して広くはない床屋の店内に、このお婆さんたちがわらわらと雪崩れ込んできた時、chirosukeはマジ怖くて涙目でありました。

段田さんのどこまでが本当で、どこからが嘘かわからないのにどんどん自分自身を追いこんでいくような演技はさすがです。
列車に数時間揺られて降り立った「ふるさと」への入口。
実家へ続くバス停の場所を訊くためにだけ訪れた「床屋」が役者の「男」(段田さん)と元役者の「妻」(りえちゃん)の「場所」となります。
一旦踏み込んだが最後、決して出られない悪夢の泥沼のような場所でした。
封じていた記憶が沼の底から湧きだすように現れ、男とその妻を飲み込んでいきます。
婆さんたちから「中ノ郷の姐さん」と呼ばれてる絶対権力を持っているかのような床屋の女主人(しのぶちゃん)は、何時しか男の「本当の姉」の姿になります。

不条理です。
閉鎖された田舎、そこにある「床屋」という現実的で身近な場所が、妙に生々しい。
語られる台詞は普通の言葉だけど意味が全く違ってしまう詩のようでした。
清水さんの世界だなぁ。
蜷川さんの演出は今回はド派手なスペクタクルでなくて、じんわり囲い込むような静かな恐ろしさで良かったと思います。

chirosukeは、久々にずっしりしたど真ん中ストレートプレイを観ました。
「子供の頃に鳥の巣をこわした者は、大人になってから村中を焼いてしまう」
怖いことわざです。
横溝正史みたいです・・・。
りえちゃんの「真実なんかどうだっていいのよ!」という叫びには、ドキッとしました。

登場人物たちを含め、舞台にある場所そのものが虚構のようで、この世のものではない人たちが紡ぐ悪夢の中で演じられる「劇」のようだとchirosukeは思いました。
何が真実で、誰が嘘つきかは劇中では明確な説明が無く、誰の口からも語られません。
難解というよりも、観客の想像力にお任せです。
役者の力量で悪夢に引きずり込まれるような、静かだけど凄まじい舞台でした。

パンフレット(1,000円)も身請けしました。
読み応えありです。

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ほうろうって・・・

優しく扱ってあげないと、欠ける、はがれる。
お鍋の取っ手は熱くなる・・・。
お高い・・・。
でも綺麗なんだものっ!!

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